氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「一枚はルチアが持っていて。じゃあ、行こっか」
ルチアは頷くと素直に立ち上がった。文句を言うつもりはもうないようだ。サンドイッチが入った紙袋を大事そうに抱えて、カイの後に続く。
「ごちそうさま」
カイはテーブルに銅貨を数枚並べると、慣れた足取りで店を後にした。
「ねえ、今の店、あなた初めてじゃないんでしょう?」
ルチアが冷たい外気に身を震わせながら、胡乱な視線を送ってきた。基本、もうカイの言うことは信用していないようだ。
「うん? 気のせい、気のせい。あ、そうそう、これも持っててほしいんだ」
おもむろに着ていた外套を脱ぐと、カイはそれをルチアの肩にかけた。大きすぎて引きずりそうだが、ぎり大丈夫な感じだ。
「え? そんなことしたらあなたが寒いわ」
「いや、それ重くって肩こっちゃってさ。契約書、サインしたでしょ? 文句言わないでちゃんと仕事して」
ルチアはその口を開きかけて、困ったように口をつぐんだ。肩にかけられた外套は上質で、小さなルチアにとっても至極軽いものだ。カイの温もりもあってか、何よりとても暖かい。
「あなたって、ほんと嘘ばっかり。……でも、ありがとう」
小さく付け足すと、ルチアはそのまま押し黙った。それを見てふっと笑うとカイはルチアと手をとって歩き出した。戸惑うルチアに「はぐれると面倒だからね」とカイはそのまま手を引いていく。
少し入り組んだ裏路地に入ると、ルチアはあからさまに緊張した面持ちになり身をこわばらせた。
「大丈夫、ちゃんと連れて行くから。ルチアに嫌われたら、オレ生きていけないよ」
また適当なことを言ってと思いつつ、ルチアは黙ってカイについていった。嘘ばかりつくカイは信用ならないが、その嘘は誰も傷つけないようなやさしいものばかりだ。
雪がちらつき始めた路地を進み、ほどなくしてふたりは「ダンのこんがり亭」へとたどりついた。
ルチアは頷くと素直に立ち上がった。文句を言うつもりはもうないようだ。サンドイッチが入った紙袋を大事そうに抱えて、カイの後に続く。
「ごちそうさま」
カイはテーブルに銅貨を数枚並べると、慣れた足取りで店を後にした。
「ねえ、今の店、あなた初めてじゃないんでしょう?」
ルチアが冷たい外気に身を震わせながら、胡乱な視線を送ってきた。基本、もうカイの言うことは信用していないようだ。
「うん? 気のせい、気のせい。あ、そうそう、これも持っててほしいんだ」
おもむろに着ていた外套を脱ぐと、カイはそれをルチアの肩にかけた。大きすぎて引きずりそうだが、ぎり大丈夫な感じだ。
「え? そんなことしたらあなたが寒いわ」
「いや、それ重くって肩こっちゃってさ。契約書、サインしたでしょ? 文句言わないでちゃんと仕事して」
ルチアはその口を開きかけて、困ったように口をつぐんだ。肩にかけられた外套は上質で、小さなルチアにとっても至極軽いものだ。カイの温もりもあってか、何よりとても暖かい。
「あなたって、ほんと嘘ばっかり。……でも、ありがとう」
小さく付け足すと、ルチアはそのまま押し黙った。それを見てふっと笑うとカイはルチアと手をとって歩き出した。戸惑うルチアに「はぐれると面倒だからね」とカイはそのまま手を引いていく。
少し入り組んだ裏路地に入ると、ルチアはあからさまに緊張した面持ちになり身をこわばらせた。
「大丈夫、ちゃんと連れて行くから。ルチアに嫌われたら、オレ生きていけないよ」
また適当なことを言ってと思いつつ、ルチアは黙ってカイについていった。嘘ばかりつくカイは信用ならないが、その嘘は誰も傷つけないようなやさしいものばかりだ。
雪がちらつき始めた路地を進み、ほどなくしてふたりは「ダンのこんがり亭」へとたどりついた。