氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
そんなカイの後ろから、子供がひとり顔をのぞかせた。茶色の髪をしたやせぎすの子供だ。長すぎる外套を引きずるように肩にかけ、その胸に大事そうに紙袋を抱えている。
「カイ坊ちゃん、いつから幼女趣味に目覚めたんで?」
「この子はそんなんじゃないよ。ルチアは、オレの運命の女の子」
余計に質が悪いのではと思ったが、いつものおふざけの類だろう。子供の方が心底嫌そうな顔をしている。
「それにしても、あの時を思い出しやすな。妹殿はお元気にしておいでで?」
「ああ、彼女もすっかり独り立ちして、今は別件で仕事してるよ」
「さいですか。あの時もこんなふうに痩せこけたガキ、あ、いや、小さい子供をつれておいででやしたからね。で、カイ坊ちゃん、その運命の幼女をどこで拾って来たんで?」
子供に視線を向けると、カイの後ろに隠れてしまった。まあ、自分のこのなりは、子供の頃の自分が見ても、しょんべんをちびるくらいにはビビると思うが。
「ルチアはこんがり亭のお客だよ。オレはここまで道案内しただけ」
カイは押し出すように子供を前にやる。肩に手を乗せたままなのは、子供がまだ怖がっているせいだろう。
「ほら、ルチア。ここに用があったんでしょ?」
促され子供はおずおずと顔を上げた。茶色の真っ直ぐな髪に隠れて目は見えない。やせぎすの薄汚い子供だ。年は十いくかいかないくらいか。実は少年かとも思ったが、やはり女の子らしい。正直、どう扱っていいのか対処に困るが、とりあえず怖がらせないようにと笑っておいた。
「ルチア、怖くないよ。あれは、こんがり亭のダン。地獄の門番みたいな顔してるけど、あれで精いっぱい笑ってるんだ」
ニコニコしながら出る台詞は、あまりフォローになっていない。肩を押されるルチアは、抵抗するように足に力を入れて、カイに背中を押し付けてくる。
スキンヘッドのダンは、クソ寒い冬でも基本いつでもタンクトップ姿だ。浅黒く日に焼けた顔や体のあちこちに刀傷が走っている上、盛り上がった筋肉がとてもではないが堅気には見えない。こんがり亭などという可愛らしい名前の店の主と言うより、殺し屋と言われた方が納得するような風貌だ。
「カイ坊ちゃん、いつから幼女趣味に目覚めたんで?」
「この子はそんなんじゃないよ。ルチアは、オレの運命の女の子」
余計に質が悪いのではと思ったが、いつものおふざけの類だろう。子供の方が心底嫌そうな顔をしている。
「それにしても、あの時を思い出しやすな。妹殿はお元気にしておいでで?」
「ああ、彼女もすっかり独り立ちして、今は別件で仕事してるよ」
「さいですか。あの時もこんなふうに痩せこけたガキ、あ、いや、小さい子供をつれておいででやしたからね。で、カイ坊ちゃん、その運命の幼女をどこで拾って来たんで?」
子供に視線を向けると、カイの後ろに隠れてしまった。まあ、自分のこのなりは、子供の頃の自分が見ても、しょんべんをちびるくらいにはビビると思うが。
「ルチアはこんがり亭のお客だよ。オレはここまで道案内しただけ」
カイは押し出すように子供を前にやる。肩に手を乗せたままなのは、子供がまだ怖がっているせいだろう。
「ほら、ルチア。ここに用があったんでしょ?」
促され子供はおずおずと顔を上げた。茶色の真っ直ぐな髪に隠れて目は見えない。やせぎすの薄汚い子供だ。年は十いくかいかないくらいか。実は少年かとも思ったが、やはり女の子らしい。正直、どう扱っていいのか対処に困るが、とりあえず怖がらせないようにと笑っておいた。
「ルチア、怖くないよ。あれは、こんがり亭のダン。地獄の門番みたいな顔してるけど、あれで精いっぱい笑ってるんだ」
ニコニコしながら出る台詞は、あまりフォローになっていない。肩を押されるルチアは、抵抗するように足に力を入れて、カイに背中を押し付けてくる。
スキンヘッドのダンは、クソ寒い冬でも基本いつでもタンクトップ姿だ。浅黒く日に焼けた顔や体のあちこちに刀傷が走っている上、盛り上がった筋肉がとてもではないが堅気には見えない。こんがり亭などという可愛らしい名前の店の主と言うより、殺し屋と言われた方が納得するような風貌だ。