氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
ルチアの周りでも、赤茶色の髪の子がみなからうらやましがられたりしているので、自分の深紅のこの髪を披露したら、きっと誰からももてはやされるだろうに。
それなのに母親のアニサは、決してその赤毛を人目につかないようにしろと頑なに言ってくる。
そんなに見せられないものなら、せめて短く切ってこざっぱりしたいのだが、これもアニサは頑としてルチアに髪を切らせなかった。
普段は三つ編みできつく縛られているが、ルチアの髪は綺麗に延ばされ、今では腰に届きそうな長さになっている。
短い方が染めるのも簡単なのにと、ルチアは口には出さずに唇を尖らせた。
「だめよ。いつも言っているでしょう? ……その髪はいつか、あなたに必要になってくるから……」
「いつかっていつよ? なんなら今すぐ切り取って売ってしまえばいいわ! 赤毛は今人気なんだから、かつら用に高く買い取ってもらえるわ! お貴族様じゃあるまいし、こんなに長く伸ばしたって何の役にも立ちやしないじゃない!」
母のアニサは持病を抱えている。お金があれば、もっといい薬を買えるし、医者にみせることだってできるのだ。隠さなければならない髪など、売ってお金に替えてしまいたい。
「だめだと言っているでしょう。……お願いだから聞き分けてちょうだい」
つらそうに顔をゆがませたアニサに、ルチアはぐっと言葉をつまらせた。アニサは興奮すると発作を起こすことがある。あまり感情を高ぶらせてはならないと、最近なじみになった薬師に言われていた。
「……コンテストに出れば、絶対に優勝できるのに……」
ルチアは無意識に長袖の上から自身の二の腕をぎゅっと掴んだ。この腕には、見事な龍の祝福がある。コンテストの歴代の優勝者よりも、ずっと美しい、まるで絵で描いたような鮮明なあざだ。
賞金が手に入れば、アニサの薬を買えるし、気兼ねなく医者にもみせられる。働かずに、ずっとアニサのそばにもいられる。
「だめよ! そのあざは絶対に誰にも知られてはだめ!」
そう叫んだ後、アニサは激しく咳込んだ。
「母さん!」
それなのに母親のアニサは、決してその赤毛を人目につかないようにしろと頑なに言ってくる。
そんなに見せられないものなら、せめて短く切ってこざっぱりしたいのだが、これもアニサは頑としてルチアに髪を切らせなかった。
普段は三つ編みできつく縛られているが、ルチアの髪は綺麗に延ばされ、今では腰に届きそうな長さになっている。
短い方が染めるのも簡単なのにと、ルチアは口には出さずに唇を尖らせた。
「だめよ。いつも言っているでしょう? ……その髪はいつか、あなたに必要になってくるから……」
「いつかっていつよ? なんなら今すぐ切り取って売ってしまえばいいわ! 赤毛は今人気なんだから、かつら用に高く買い取ってもらえるわ! お貴族様じゃあるまいし、こんなに長く伸ばしたって何の役にも立ちやしないじゃない!」
母のアニサは持病を抱えている。お金があれば、もっといい薬を買えるし、医者にみせることだってできるのだ。隠さなければならない髪など、売ってお金に替えてしまいたい。
「だめだと言っているでしょう。……お願いだから聞き分けてちょうだい」
つらそうに顔をゆがませたアニサに、ルチアはぐっと言葉をつまらせた。アニサは興奮すると発作を起こすことがある。あまり感情を高ぶらせてはならないと、最近なじみになった薬師に言われていた。
「……コンテストに出れば、絶対に優勝できるのに……」
ルチアは無意識に長袖の上から自身の二の腕をぎゅっと掴んだ。この腕には、見事な龍の祝福がある。コンテストの歴代の優勝者よりも、ずっと美しい、まるで絵で描いたような鮮明なあざだ。
賞金が手に入れば、アニサの薬を買えるし、気兼ねなく医者にもみせられる。働かずに、ずっとアニサのそばにもいられる。
「だめよ! そのあざは絶対に誰にも知られてはだめ!」
そう叫んだ後、アニサは激しく咳込んだ。
「母さん!」