氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
 そう言ってリーゼロッテを連れて、さっさとエントランスを出ていこうとする。咄嗟に手を伸ばそうとするジークヴァルトを、マテアスは迷いのない動きで羽交い絞めにした。

「ここはわたしにお任せを! ユリウス様、リーゼロッテ様とエラ様をよろしくお願いいたします」
「おう、任せとけ」

 ジークヴァルトの抵抗もむなしく、一行は馬車留めへと移動する。

 リーゼロッテが乗り込んだ後にエラも続こうとすると、エーミールがその背に声をかけた。

「エラ、今日わたしは同席できないが、その、気をつけて行ってきてくれ」
「はい、お任せください」

 振り向いて笑顔を向けたエラに、エーミールは硬い顔を返した。

「……エラ、あの家に着いたら、あなたは極力口を開かない方がいい。侍女として、出過ぎた真似だけはしないでくれ」
「お気遣いありがとうございます。十分わきまえて行動するようにしたします」

 エーミールに頭を下げて、エラは馬車に乗り込んだ。グレーデン家はエラのような新興貴族を快く思っていない。あくまで、ただの使用人として付き添えということだろう。

 最後にユリウスが乗り込むと、雪がちらつく中、馬車は静かに走り出した。

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