氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
     ◇
「ふっ、はははっ」

 向かいに腰かけるユリウスが、リーゼロッテの顔をまじまじと見た後、突然笑い出した。笑いをこらえては、リーゼロッテをちらりと見やり、またふき出す。そんなことを幾度か繰り返す。

「あの、ユリウス様……。わたくしの顔に何かございますか?」
「いや、すまない。さっきのジークヴァルトを思い出すとつい……」

 そう言ってユリウスは再びぷぷっと笑った。

「ジークヴァルト様は過保護でいらっしゃるから……」
「そりゃ過保護にもなるだろうさ」

 ユリウスの言葉にリーゼロッテは困ったように笑みを作った。
(わたしってそんなに危なっかしいのかしら)

 ジークヴァルトの自分に対する子供扱いが、傍目から見てバレバレなのだと思うと、少し悲しくなってくる。隣に座るエラに視線を送ると、エラはやさしく微笑み返してきた。

「公爵様は本当に、お嬢様を大事になさっておられますからね」
「ええ、そうね」

 その言葉に反論はなかったので、リーゼロッテはあきらめ半分に頷いた。

「ユリウス様、今日はお忙しい中、護衛を引き受けてくださってありがとうございます」

 話題を変えるように言うと、ユリウスはにかっと笑った。

生憎(あいにく)、途中までだがな」
「途中まで?」
「ああ、後で別の騎士が合流予定だ。女帝と顔を合わすのも勘弁だが、オレもこん中で長時間は耐えられそうにない」

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