氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
そう言ってカイが手を伸ばすと、次の瞬間、エラの体が手前にかくんと倒れこんだ。その力の抜けた体をなんなく受け止め、カイはそのままリーゼロッテとエラの間に座り込む。
「エラ!」
明らかにカイの手がその首筋に触れた瞬間に、エラは脱力するように崩れ落ちた。「カイ様……!」とリーゼロッテが非難めいた声を上げると、カイは困ったような顔を向けてくる。
「眠り薬を使っただけだから。ごめん、ふたりだけで話す時間が欲しくて」
カイはもたれかかるエラを抱きよせて、収まりよくするように自身の肩にエラの顔を乗せた。カイを挟んで三人で並ぶ椅子は少々窮屈だ。横から肩を押されながら、リーゼロッテは心配そうにエラの顔を覗き込んだ。
「すぐに醒めるよ。体に負担はないから安心して」
「なぜこのような……」
カイに体を預けているエラは、すやすやと眠っているように見える。それでも不安はぬぐえない。
「時間がないから手短に話すけど、今日の茶会は、オレがジークヴァルト様に頼んで受けてもらったんだ」
「カイ様が?」
「うん、どうしてもグレーデン家に潜りこむ必要があって。ほら、オレってグレーデン家で嫌われてるからさ、真正面からは入れないでしょ? ウルリーケ様がリーゼロッテ嬢に会いたがってるのは聞いてたから、ちょうどよかったよ」
にっこりと笑顔を返してくるカイを見て、公爵家でのエーミールとのやり取りを思い出す。一方的にエーミールがカイをなじっていたが、ふたりの仲が良ろしくないのは一目瞭然だった。
「それでカイ様は今日、公爵家の護衛服をお召しなのですか?」
「うん、そう。オレ、今日は一介の護衛だから、あっちに着いたらデルプフェルトの名は出さないで欲しいんだ」
「……潜入捜査、ということですのね」
「リーゼロッテ嬢って、時々すごい言葉知ってるよね」
いたずらっぽくカイは笑う。否定しないということは、そういうことなのだろう。
「エラ!」
明らかにカイの手がその首筋に触れた瞬間に、エラは脱力するように崩れ落ちた。「カイ様……!」とリーゼロッテが非難めいた声を上げると、カイは困ったような顔を向けてくる。
「眠り薬を使っただけだから。ごめん、ふたりだけで話す時間が欲しくて」
カイはもたれかかるエラを抱きよせて、収まりよくするように自身の肩にエラの顔を乗せた。カイを挟んで三人で並ぶ椅子は少々窮屈だ。横から肩を押されながら、リーゼロッテは心配そうにエラの顔を覗き込んだ。
「すぐに醒めるよ。体に負担はないから安心して」
「なぜこのような……」
カイに体を預けているエラは、すやすやと眠っているように見える。それでも不安はぬぐえない。
「時間がないから手短に話すけど、今日の茶会は、オレがジークヴァルト様に頼んで受けてもらったんだ」
「カイ様が?」
「うん、どうしてもグレーデン家に潜りこむ必要があって。ほら、オレってグレーデン家で嫌われてるからさ、真正面からは入れないでしょ? ウルリーケ様がリーゼロッテ嬢に会いたがってるのは聞いてたから、ちょうどよかったよ」
にっこりと笑顔を返してくるカイを見て、公爵家でのエーミールとのやり取りを思い出す。一方的にエーミールがカイをなじっていたが、ふたりの仲が良ろしくないのは一目瞭然だった。
「それでカイ様は今日、公爵家の護衛服をお召しなのですか?」
「うん、そう。オレ、今日は一介の護衛だから、あっちに着いたらデルプフェルトの名は出さないで欲しいんだ」
「……潜入捜査、ということですのね」
「リーゼロッテ嬢って、時々すごい言葉知ってるよね」
いたずらっぽくカイは笑う。否定しないということは、そういうことなのだろう。