氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
◇
「ねえ、エラ。このお屋敷は随分と静かなのね」
部屋に通されてすぐに、グレーデン家のメイドが紅茶と茶菓子を運んできたが、無言で頭を下げた後すぐに出て行ってしまった。目の前に置かれた紅茶はリーゼロッテの分だけだ。
エラはリーゼロッテの座るソファの背後に控え、「そうでございますね」と言葉少なに頷いて見せた。
カイは部屋の外で待機している。いつ聞き込みに行くのかはわからないが、自分は客人として自然にしていなくては。
ちらりと壁際を見ると、いつものようについてきたカークが背筋を伸ばして立っている。グレーデン家にはあまり力ある者はいないようだった。カークを視ていきなり叫ばれても困るので、願ったり叶ったりといったところだ。
「大奥様がお待ちです。どうぞこちらへ」
ノックと共に入ってきたメイドが部屋を出るようにと誘っていく。リーゼロッテはそれに従い、長い廊下をメイドについて行った。その後ろをエラが続き、カイも無言で後を追ってくる。
「こちらでございます」
静かに頭を下げられ、温室のような場所へと通される。リーゼロッテとエラは歩を進めたが、カイは入り口で立ち止まったまま、中に入ってこようとはしなかった。リーゼロッテは一度振り返り、カイに向かって小さく頷いた。再び奥へと向き直ってから、ぐっと姿勢を正す。
(いよいよ決戦の時ね!)
おとり役を見事に成し遂げようと、リーゼロッテは気合を入れてその足を踏み出した。
外は雪が降り積もっているというのに、温室の中は暖かく、色とりどりの花が咲き乱れている。見たこともないような花がいくつも目に入り、むせかえるような香りが少しだけ辛く感じる。それをこらえてリーゼロッテは慎重な足取りで奥へと進んだ。
植物の陰から、白い丸テーブルと椅子に座る年配の夫人の姿が目に入る。それがグレーデン家の女帝なのだとわかると、リーゼロッテはきゅっと唇と引き結んだ。
(いいこと、リーゼロッテ・ダーミッシュ! あなたは伯爵令嬢……ガラスの仮面をかぶるのよ……!)
「ねえ、エラ。このお屋敷は随分と静かなのね」
部屋に通されてすぐに、グレーデン家のメイドが紅茶と茶菓子を運んできたが、無言で頭を下げた後すぐに出て行ってしまった。目の前に置かれた紅茶はリーゼロッテの分だけだ。
エラはリーゼロッテの座るソファの背後に控え、「そうでございますね」と言葉少なに頷いて見せた。
カイは部屋の外で待機している。いつ聞き込みに行くのかはわからないが、自分は客人として自然にしていなくては。
ちらりと壁際を見ると、いつものようについてきたカークが背筋を伸ばして立っている。グレーデン家にはあまり力ある者はいないようだった。カークを視ていきなり叫ばれても困るので、願ったり叶ったりといったところだ。
「大奥様がお待ちです。どうぞこちらへ」
ノックと共に入ってきたメイドが部屋を出るようにと誘っていく。リーゼロッテはそれに従い、長い廊下をメイドについて行った。その後ろをエラが続き、カイも無言で後を追ってくる。
「こちらでございます」
静かに頭を下げられ、温室のような場所へと通される。リーゼロッテとエラは歩を進めたが、カイは入り口で立ち止まったまま、中に入ってこようとはしなかった。リーゼロッテは一度振り返り、カイに向かって小さく頷いた。再び奥へと向き直ってから、ぐっと姿勢を正す。
(いよいよ決戦の時ね!)
おとり役を見事に成し遂げようと、リーゼロッテは気合を入れてその足を踏み出した。
外は雪が降り積もっているというのに、温室の中は暖かく、色とりどりの花が咲き乱れている。見たこともないような花がいくつも目に入り、むせかえるような香りが少しだけ辛く感じる。それをこらえてリーゼロッテは慎重な足取りで奥へと進んだ。
植物の陰から、白い丸テーブルと椅子に座る年配の夫人の姿が目に入る。それがグレーデン家の女帝なのだとわかると、リーゼロッテはきゅっと唇と引き結んだ。
(いいこと、リーゼロッテ・ダーミッシュ! あなたは伯爵令嬢……ガラスの仮面をかぶるのよ……!)