氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
女帝と目が合うと、リーゼロッテは完ぺきともいえる淑女の笑みをその顔にのせた。腰を折り、王族にするのと同じ礼をとる。
「ウルリーケ・グレーデン様、お初にお目にかかります。ダーミッシュ伯爵の娘、リーゼロッテにございます。本日はこのような素敵なお茶会にお招きいただき、誠に光栄です」
「よく来ました。リーゼロッテ・ラウエンシュタイン」
冷たく震えた声だった。顔をあげなくとも、上から見下ろされているような感覚を覚える。
「恐れながら、グレーデン様。わたくしの家名はダーミッシュにございます」
静かに、だが引くことなく、リーゼロッテはそう返した。
「お前はラウエンシュタイン家に生まれた人間。そのことを誇りに思いなさい」
「グレーデン様のおっしゃる通り、わたくしの生家はラウエンシュタインでございます。ですが、先の白の夜会で、わたくしはダーミッシュ家の人間として、ディートリヒ王に認めていただきました」
いきなり立てつくような発言になってしまい、リーゼロッテは冷や汗をかいていた。だが、このことだけは誰が相手だろうと引くことはできない。義父のフーゴとも約束したのだ。ダーミッシュ家の一員であることに、いつでも胸を張っているようにと。
「頑固なところはあの娘にそっくりだこと」
だが、女帝は声音を変えることなく平たんにつぶやいた。目線で案内役のメイドに指示を出す。リーゼロッテは促されて、用意された席へと誘われた。
「お前はいいわ。下がりなさい」
後ろに続いたエラに冷たく言うと、すぐに視線をリーゼロッテに戻す。エラは無言で頭を垂れて、温室の入り口付近まで戻っていった。
不安げに振り返ると、エラはウルリーケの視界には入らず、だが、リーゼロッテからは姿が見える絶妙な場所で控えていた。
そのことに安堵すると、リーゼロッテは前に向き直り、引かれた椅子に腰かけた。背後に視線を感じてちらりと見やると、カークが距離を置いてそこに立っている。ドキドキしながら女帝を伺うが、その表情は動いていなかった。
(よかった。ウルリーケ様にカークが視えないみたい)
王族出身ならば、力ある者でもおかしくない。カークを視て卒倒されてはと、ちょっと心配していたのだ。
「ウルリーケ・グレーデン様、お初にお目にかかります。ダーミッシュ伯爵の娘、リーゼロッテにございます。本日はこのような素敵なお茶会にお招きいただき、誠に光栄です」
「よく来ました。リーゼロッテ・ラウエンシュタイン」
冷たく震えた声だった。顔をあげなくとも、上から見下ろされているような感覚を覚える。
「恐れながら、グレーデン様。わたくしの家名はダーミッシュにございます」
静かに、だが引くことなく、リーゼロッテはそう返した。
「お前はラウエンシュタイン家に生まれた人間。そのことを誇りに思いなさい」
「グレーデン様のおっしゃる通り、わたくしの生家はラウエンシュタインでございます。ですが、先の白の夜会で、わたくしはダーミッシュ家の人間として、ディートリヒ王に認めていただきました」
いきなり立てつくような発言になってしまい、リーゼロッテは冷や汗をかいていた。だが、このことだけは誰が相手だろうと引くことはできない。義父のフーゴとも約束したのだ。ダーミッシュ家の一員であることに、いつでも胸を張っているようにと。
「頑固なところはあの娘にそっくりだこと」
だが、女帝は声音を変えることなく平たんにつぶやいた。目線で案内役のメイドに指示を出す。リーゼロッテは促されて、用意された席へと誘われた。
「お前はいいわ。下がりなさい」
後ろに続いたエラに冷たく言うと、すぐに視線をリーゼロッテに戻す。エラは無言で頭を垂れて、温室の入り口付近まで戻っていった。
不安げに振り返ると、エラはウルリーケの視界には入らず、だが、リーゼロッテからは姿が見える絶妙な場所で控えていた。
そのことに安堵すると、リーゼロッテは前に向き直り、引かれた椅子に腰かけた。背後に視線を感じてちらりと見やると、カークが距離を置いてそこに立っている。ドキドキしながら女帝を伺うが、その表情は動いていなかった。
(よかった。ウルリーケ様にカークが視えないみたい)
王族出身ならば、力ある者でもおかしくない。カークを視て卒倒されてはと、ちょっと心配していたのだ。