氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
 そこまで言い終わると、カミラは急に悔しそうな顔をした。

「いやだ、本当に知っていることをすべて話してしまったわ。わたくしも龍に目隠しとやらをしてもらいたかったのに」

 そう言った後、カミラは再びカイに向き直った。

「わたくしが知っているのはこれだけよ。その後アニータがどうなったのかなんて知らないし、なぜイルムヒルデ様がアニータを逃がしたのか、その理由も知らないわ」

 カイは探るようにカミラの顔を見たが、そこに嘘の影は見いだせなかった。

「わかったらさっさと帰ってちょうだい」
 冷たく言うと、再びカミラはカイに背を向けた。

「ご協力、感謝します」
 その言葉だけを残して、来たときと同じくカイは、気配なくサロンを後にした。


「アニータ・スタン……本当に、愚かな子」

 残されたカミラはひとり静かに、降り積もる雪を眺め続けた。

< 413 / 684 >

この作品をシェア

pagetop