氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
そこまで思って、ふと何かが引っかかったような感覚に見舞われ、リーゼロッテはその思考を遮られた。
「紅のしるし……」
いつか、似たようなものを見たことがなかっただろうか? 思い出せそうで思い出せない。そんなもどかしい感じだ。
「わたくし、以前、それをどこかで見たことが……」
独り言のようにつぶやいて視線をさ迷させていると、カイが驚いたように両の二の腕をつかんでその体を揺さぶった。
「見た? 龍の烙印を見たって言うの!? いつ? どこで? どんな時に!?」
矢継ぎ早に問われ、リーゼロッテは狼狽した。いつものカイではない強引さで、答えを迫ってくる。
「ええと、あれは、そう……そうですわ。あの時ジョンが……」
「ジョン? って公爵家の泣き虫ジョン?」
「はい……あの日、大雨の中、ジョンが濡れてしまって……そうしたら立ち上がったジョンの額が赤く光って……」
そうだ。あの時のジョンからも、赤い光が放たれていた。普段は前髪で隠されている、さみし気な瞳が垣間見え、それが今でも忘れられないでいる。
あの日以来、ジョンには会いには行ってない。ジョンは今もあの木の根元でひとり泣いているのだろうか。
「っだぁ!! 何やってんだよ! 公爵家はよぉ!!」
そう言うカイもジョンを視察したばかりだ。そのことを棚に上げて、カイは怒りを隠そうともせず大声で叫んだ。
「か、カイ様!?」
リーゼロッテがおびえたように身を縮こませる。カイは気を回す余裕なく、続けて独り言のように毒づいた。
「ったく、ジークヴァルト様になんて説明すりゃいいんだ? まさかこのタイミングで、しかもグレーデン家だろ? 来るか、普通? ああ、普通じゃないから星に堕ちてんだよな。その上、泣き虫ジョンまで星を堕とす者? あの異形、むかしっから調書に載ってんだよ? 今まで何やってたんだっつう話だよ! ああ、まったくもう、この忙しい時にどいつもこいつもふざけんなっ」
一気にまくしたてると、カイはふうーっと息をついた。
「ごめん。気は済んだから、とりあえずジークヴァルト様を呼ぼうか」
『もう来てるみたいだからいいんじゃない?』
「え?」
「紅のしるし……」
いつか、似たようなものを見たことがなかっただろうか? 思い出せそうで思い出せない。そんなもどかしい感じだ。
「わたくし、以前、それをどこかで見たことが……」
独り言のようにつぶやいて視線をさ迷させていると、カイが驚いたように両の二の腕をつかんでその体を揺さぶった。
「見た? 龍の烙印を見たって言うの!? いつ? どこで? どんな時に!?」
矢継ぎ早に問われ、リーゼロッテは狼狽した。いつものカイではない強引さで、答えを迫ってくる。
「ええと、あれは、そう……そうですわ。あの時ジョンが……」
「ジョン? って公爵家の泣き虫ジョン?」
「はい……あの日、大雨の中、ジョンが濡れてしまって……そうしたら立ち上がったジョンの額が赤く光って……」
そうだ。あの時のジョンからも、赤い光が放たれていた。普段は前髪で隠されている、さみし気な瞳が垣間見え、それが今でも忘れられないでいる。
あの日以来、ジョンには会いには行ってない。ジョンは今もあの木の根元でひとり泣いているのだろうか。
「っだぁ!! 何やってんだよ! 公爵家はよぉ!!」
そう言うカイもジョンを視察したばかりだ。そのことを棚に上げて、カイは怒りを隠そうともせず大声で叫んだ。
「か、カイ様!?」
リーゼロッテがおびえたように身を縮こませる。カイは気を回す余裕なく、続けて独り言のように毒づいた。
「ったく、ジークヴァルト様になんて説明すりゃいいんだ? まさかこのタイミングで、しかもグレーデン家だろ? 来るか、普通? ああ、普通じゃないから星に堕ちてんだよな。その上、泣き虫ジョンまで星を堕とす者? あの異形、むかしっから調書に載ってんだよ? 今まで何やってたんだっつう話だよ! ああ、まったくもう、この忙しい時にどいつもこいつもふざけんなっ」
一気にまくしたてると、カイはふうーっと息をついた。
「ごめん。気は済んだから、とりあえずジークヴァルト様を呼ぼうか」
『もう来てるみたいだからいいんじゃない?』
「え?」