氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
ジークヴァルトがあわや浴室に足を踏み入れようとしたその瞬間、扉の向こうから一本の手がにゅっと伸びてきた。その手がジークヴァルトの襟首をはしっと掴んだかと思うと、そのままジークヴァルトをぐいと浴室の外へと引っ張り出し、すぱんと扉は閉められた。
扉の向こうで何やら話し声がする。ほどなくして、再びそっと開いた扉から顔を出したのはベッティだった。
「リーゼロッテ様ぁ、何事ですかぁ?」
「湯の中で足を少し滑らせてしまって。大げさにしてごめんなさい。なんともないわ」
「承知いたしましたぁ。また後程、お伺いいたしますぅ」
それだけ確かめると、ベッティは顔を引っ込め再び扉は閉められた。
じょぼじょぼと湯が流れる音がする。時折天井からしずくが落ちて、ぴちょんとリーゼロッテのそばで小さく跳ねた。
(み、み、み、見られたの!?)
今さらの事だが、慌ててざぶりと湯に潜り込む。確かに体は湯につかっていたはずだ。湯船は濁り湯でその中は見えはしない。
(でも肩まで浸かってた? 胸は? 出てた? 隠れてた?)
てんぱりすぎて沈めた口元で空気がぶくぶく言いまくっている。
「いやぁ! まだバストアップはこれからなのにっ!!」
ざばあと立ち上がって叫んだところで、ベッティが湯煙の中戻ってきた。
「さぁ、湯冷めする前に髪を乾かしましょうかぁ」
のほほんとした口調でリーゼロッテを湯船から引き上げる。
「ヴァルト様は今どうしていらっしゃるの……?」
「公爵様なら王子殿下のお部屋に戻っていただきましたぁ。明日またいらっしゃるようにと、お願いいたしましたので、今宵はご安心してぐっすり眠りくださいましねぇ」
夜這いになんぞに来たら叩き出してやる。そんなベッティの胸中など知る由もなく、リーゼロッテは呆然自失で湯から上がった。
上機嫌で髪を乾かすベッティに、リーゼロッテは不安げな視線を送る。
扉の向こうで何やら話し声がする。ほどなくして、再びそっと開いた扉から顔を出したのはベッティだった。
「リーゼロッテ様ぁ、何事ですかぁ?」
「湯の中で足を少し滑らせてしまって。大げさにしてごめんなさい。なんともないわ」
「承知いたしましたぁ。また後程、お伺いいたしますぅ」
それだけ確かめると、ベッティは顔を引っ込め再び扉は閉められた。
じょぼじょぼと湯が流れる音がする。時折天井からしずくが落ちて、ぴちょんとリーゼロッテのそばで小さく跳ねた。
(み、み、み、見られたの!?)
今さらの事だが、慌ててざぶりと湯に潜り込む。確かに体は湯につかっていたはずだ。湯船は濁り湯でその中は見えはしない。
(でも肩まで浸かってた? 胸は? 出てた? 隠れてた?)
てんぱりすぎて沈めた口元で空気がぶくぶく言いまくっている。
「いやぁ! まだバストアップはこれからなのにっ!!」
ざばあと立ち上がって叫んだところで、ベッティが湯煙の中戻ってきた。
「さぁ、湯冷めする前に髪を乾かしましょうかぁ」
のほほんとした口調でリーゼロッテを湯船から引き上げる。
「ヴァルト様は今どうしていらっしゃるの……?」
「公爵様なら王子殿下のお部屋に戻っていただきましたぁ。明日またいらっしゃるようにと、お願いいたしましたので、今宵はご安心してぐっすり眠りくださいましねぇ」
夜這いになんぞに来たら叩き出してやる。そんなベッティの胸中など知る由もなく、リーゼロッテは呆然自失で湯から上がった。
上機嫌で髪を乾かすベッティに、リーゼロッテは不安げな視線を送る。