氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
オクタヴィアの瞼が揺れた。抱き起したジョンに向けて、うつろな瞳が開かれる。
「わたくし、まだ生きているの……? お願い、ジョバンニ。わたくしをあの方の元へ……」
懇願するように、オクタヴィアはジョンの両手を自身の首に導いた。冷たく青ざめたその肌に、震えるジョンの手が沿わされていく。
ジョンの手が離れぬよう、力ない腕がそっと支える。貼りついたドレスの袖から、透けるように丸い文様――龍のあざが垣間見えた。
(オクタヴィアは、龍の託宣を受けていたんだわ……!)
そう思ったとき、首に手をかけたまま動けないでいるジョンに、オクタヴィアが囁いた。
「お願い、ジョバンニ。――わたくしを殺して」
滝のような雨の中、催眠術にかけられたかのように、ジョンはぐっとその手に力を入れた。苦しそうに歪められたオクタヴィアの表情は、やがてうっとりと満ちたりたものへと変わっていく。
「ああ……カーク様……ようやくあなたの元へ……」
これ以上ない満足そうな顔だった。そんなにも。そんなにもあの男だけを選ぶというのか。
爆発したように、一気にジョンの感情が膨れ上がった。
――大切なお嬢様。龍に選ばれ、王子に守られ、誰よりもしあわせになるはずのボクだけのお嬢様。それなのに、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ……!
激流のようにジョンの感情が巡っていく。
ボクの愛は届かない。勝ち目のない龍の選んだ王族ならばまだしも、なぜあの男でなければならないのか。
満足そうに微笑むオクタヴィアの首を、ジョンは折れんばかりに締め上げた。
憎い、憎い、憎い、あの男が、どんなに焦がれても、この手に届かぬオクタヴィアが――
細い首がのけぞり、ジョンの腕をつかむ手が力なく地面に落ちる。ジョンは滂沱の涙を流しながら、天に向かって咆哮を上げた。
「わたくし、まだ生きているの……? お願い、ジョバンニ。わたくしをあの方の元へ……」
懇願するように、オクタヴィアはジョンの両手を自身の首に導いた。冷たく青ざめたその肌に、震えるジョンの手が沿わされていく。
ジョンの手が離れぬよう、力ない腕がそっと支える。貼りついたドレスの袖から、透けるように丸い文様――龍のあざが垣間見えた。
(オクタヴィアは、龍の託宣を受けていたんだわ……!)
そう思ったとき、首に手をかけたまま動けないでいるジョンに、オクタヴィアが囁いた。
「お願い、ジョバンニ。――わたくしを殺して」
滝のような雨の中、催眠術にかけられたかのように、ジョンはぐっとその手に力を入れた。苦しそうに歪められたオクタヴィアの表情は、やがてうっとりと満ちたりたものへと変わっていく。
「ああ……カーク様……ようやくあなたの元へ……」
これ以上ない満足そうな顔だった。そんなにも。そんなにもあの男だけを選ぶというのか。
爆発したように、一気にジョンの感情が膨れ上がった。
――大切なお嬢様。龍に選ばれ、王子に守られ、誰よりもしあわせになるはずのボクだけのお嬢様。それなのに、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ……!
激流のようにジョンの感情が巡っていく。
ボクの愛は届かない。勝ち目のない龍の選んだ王族ならばまだしも、なぜあの男でなければならないのか。
満足そうに微笑むオクタヴィアの首を、ジョンは折れんばかりに締め上げた。
憎い、憎い、憎い、あの男が、どんなに焦がれても、この手に届かぬオクタヴィアが――
細い首がのけぞり、ジョンの腕をつかむ手が力なく地面に落ちる。ジョンは滂沱の涙を流しながら、天に向かって咆哮を上げた。