氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
その時、乱暴に温室の扉が開け放たれた。使用人が慌てたように誰かを制しているが、その人物はお構いなしにずかずかとこちらに向かってきた。
「休暇は終わりだ。今すぐ帰還するぞ」
「バルバナス……!」
雪に濡れたバルバナスに、ウルリーケが憎悪の顔を向けた。
「誰がお前の来訪を許しましたか! 今すぐ立ち去りなさい!」
興奮したように立ち上がる。そばで控えていたメイドが慌てたようにその背を支えた。
「ウルリーケの婆さんよ、あんたはもう王族じゃねえんだ。そっちこそ立場を弁えてもらおうか」
バルバナスの冷酷な物言いに、ウルリーケは激高した様子でさらに声を荒げた。
「お前こそ、アデライーデを唆して……! これ以上お前のお遊びに、この娘を付き合わせるわけにはいかないわ!」
そこまで言って、ウルリーケは苦しそうに胸を押さえその場に崩れ落ちた。
「お婆様……!」
「自業自得だ。帰るぞ、アデライーデ」
青ざめて駆け寄ると、途中で手首を乱暴につかみ取られる。アデライーデはその腕を、すぐさま力の限り振り払った。
「それはご命令ですか? 王兄殿下」
取り戻した腕を身に引き寄せながら、睨みつけるように言う。しばしアデライーデの顔を見つめたバルバナスは、横を向くと大きな舌打ちをした。
「明日までに戻って来い。でなければ次は力づくでも連れ戻す」
そう言い残し、来た時と同じように乱暴な足取りでバルバナスは帰っていった。
ウルリーケが使用人たちの手で運ばれていく。それを見送ったアデライーデは、ぐっと唇をかんだ。
父が強引にでも嫁ぎ先を決めてしまえば、バルバナスから引き離すこともできただろう。だが、騎士団へ入りたいと言ったアデライーデを、ジークフリートは止めることはしなかった。
「休暇は終わりだ。今すぐ帰還するぞ」
「バルバナス……!」
雪に濡れたバルバナスに、ウルリーケが憎悪の顔を向けた。
「誰がお前の来訪を許しましたか! 今すぐ立ち去りなさい!」
興奮したように立ち上がる。そばで控えていたメイドが慌てたようにその背を支えた。
「ウルリーケの婆さんよ、あんたはもう王族じゃねえんだ。そっちこそ立場を弁えてもらおうか」
バルバナスの冷酷な物言いに、ウルリーケは激高した様子でさらに声を荒げた。
「お前こそ、アデライーデを唆して……! これ以上お前のお遊びに、この娘を付き合わせるわけにはいかないわ!」
そこまで言って、ウルリーケは苦しそうに胸を押さえその場に崩れ落ちた。
「お婆様……!」
「自業自得だ。帰るぞ、アデライーデ」
青ざめて駆け寄ると、途中で手首を乱暴につかみ取られる。アデライーデはその腕を、すぐさま力の限り振り払った。
「それはご命令ですか? 王兄殿下」
取り戻した腕を身に引き寄せながら、睨みつけるように言う。しばしアデライーデの顔を見つめたバルバナスは、横を向くと大きな舌打ちをした。
「明日までに戻って来い。でなければ次は力づくでも連れ戻す」
そう言い残し、来た時と同じように乱暴な足取りでバルバナスは帰っていった。
ウルリーケが使用人たちの手で運ばれていく。それを見送ったアデライーデは、ぐっと唇をかんだ。
父が強引にでも嫁ぎ先を決めてしまえば、バルバナスから引き離すこともできただろう。だが、騎士団へ入りたいと言ったアデライーデを、ジークフリートは止めることはしなかった。