氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「どうりでさっきから居心地いいと思ったら! オレ、無知なる者に会うのは初めてだ!」
たれ目を見開いて、興奮したようにエラの手を上下に揺さぶる。固まった状態でエラはなすがままにされていた。
「おい! 気安くエラに触れるな」
苛立った様子のエーミールに肩を引き寄せられる。両手をつかまれたまま、エラはニコラウスごとエーミールにもたれかかった。
「え? おふたりはそういう関係で?」
ニコラウスが倒れこんだエラの膝の上から驚いたように問うと、エラは慌てたように首をぶんぶんと振った。
「いいえ! そのようなことはございません!」
突然の大声に、リーゼロッテたちの視線が向けられる。
「何? 痴情のもつれ?」
「「「違いますっ」」」
アデライーデの突っ込みに、三人の言葉が重なった。と同時にそれぞれが居住まいを正す。
「ふふ、三人とも楽しそうですわ。……あら? あなた、この前の子ね」
リーゼロッテが床へと視線を向ける。エラには何も見えなかったが、みなの様子を見る限り、そこには何かがいるようだ。
「お嬢様、そこに異形の者がいるのですか?」
「ええ、とても小さくてやさしい子よ」
「まあ!」
感動したように言うも、自分には視えない存在だ。
「わたしも一度くらいは視てみたいものです……」
エラのしゅんとした様子に、ニコラウスが突然笑いはじめた。
「ははは、エデラー嬢はおもしろい人だな。異形なんか視えない方がしあわせってもんだ」
「ですが……」
悲しそうな顔のエラに、ニコラウスが懐から紙とペンを取り出した。さらさらと何かを描き上げると、それをエラに差し出してくる。
「お近づきの記念にどうぞ」
「これは……!?」
そこには目がきゅるんとしたぶさ可愛い見たこともない生き物が描かれていた。
「あら、よく描けてるじゃない」
「まあ、本当! あの子そっくりですわ」
ニコラウスに差し出された紙を手に取り、エラはとび色の目を見開いた。
「ではこれが……!」
「まあ、普通の異形とは見た目が全然違うけど」
「ありがとうございます、ニコラウス・ブラル様」
エラに潤んだ瞳で見上げられ、ニコラウスの顔が赤くなる。
「あ、いや、オレのことはニコラウスでいいから」
「はい、ニコラウス様」
「よかったわね、エラ」
リーゼロッテが微笑むと、エラはうれしそうに頷いた。
「む……そのくらいならわたしにも描けるぞ」
おもしろくなさそうにエーミールがエラの持つ紙を奪いとり、それにペンを滑らせる。
「どうだ」
「「「「「……………………」」」」」
どや顔で差し出された紙を見た一同は、一瞬押し黙った。だが次の瞬間、あまりにぶさぶさしいヘタウマな異形の姿に、サロンは大爆笑に包まれたのであった。
たれ目を見開いて、興奮したようにエラの手を上下に揺さぶる。固まった状態でエラはなすがままにされていた。
「おい! 気安くエラに触れるな」
苛立った様子のエーミールに肩を引き寄せられる。両手をつかまれたまま、エラはニコラウスごとエーミールにもたれかかった。
「え? おふたりはそういう関係で?」
ニコラウスが倒れこんだエラの膝の上から驚いたように問うと、エラは慌てたように首をぶんぶんと振った。
「いいえ! そのようなことはございません!」
突然の大声に、リーゼロッテたちの視線が向けられる。
「何? 痴情のもつれ?」
「「「違いますっ」」」
アデライーデの突っ込みに、三人の言葉が重なった。と同時にそれぞれが居住まいを正す。
「ふふ、三人とも楽しそうですわ。……あら? あなた、この前の子ね」
リーゼロッテが床へと視線を向ける。エラには何も見えなかったが、みなの様子を見る限り、そこには何かがいるようだ。
「お嬢様、そこに異形の者がいるのですか?」
「ええ、とても小さくてやさしい子よ」
「まあ!」
感動したように言うも、自分には視えない存在だ。
「わたしも一度くらいは視てみたいものです……」
エラのしゅんとした様子に、ニコラウスが突然笑いはじめた。
「ははは、エデラー嬢はおもしろい人だな。異形なんか視えない方がしあわせってもんだ」
「ですが……」
悲しそうな顔のエラに、ニコラウスが懐から紙とペンを取り出した。さらさらと何かを描き上げると、それをエラに差し出してくる。
「お近づきの記念にどうぞ」
「これは……!?」
そこには目がきゅるんとしたぶさ可愛い見たこともない生き物が描かれていた。
「あら、よく描けてるじゃない」
「まあ、本当! あの子そっくりですわ」
ニコラウスに差し出された紙を手に取り、エラはとび色の目を見開いた。
「ではこれが……!」
「まあ、普通の異形とは見た目が全然違うけど」
「ありがとうございます、ニコラウス・ブラル様」
エラに潤んだ瞳で見上げられ、ニコラウスの顔が赤くなる。
「あ、いや、オレのことはニコラウスでいいから」
「はい、ニコラウス様」
「よかったわね、エラ」
リーゼロッテが微笑むと、エラはうれしそうに頷いた。
「む……そのくらいならわたしにも描けるぞ」
おもしろくなさそうにエーミールがエラの持つ紙を奪いとり、それにペンを滑らせる。
「どうだ」
「「「「「……………………」」」」」
どや顔で差し出された紙を見た一同は、一瞬押し黙った。だが次の瞬間、あまりにぶさぶさしいヘタウマな異形の姿に、サロンは大爆笑に包まれたのであった。