氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「ふふ、こうやっておそろいのドレスをふたりに着せるのが、わたくしたちの夢だったの。ようやく叶ったわね、ジルケお姉様」
「そうね、ふたりがそうやって並んでいると、お伽の国から迷いこんだ精霊みたいよ」

 クリスタとジルケが目を細めながら言う。同じ織物で仕立ててはあるが、ふたりのドレスはそれぞれデザインが違っていた。

「アンネマリーのドレスはリボンが素敵ね」

 右肩にあしらわれた大きなリボンがいちばんに目を引いた。胸が注目されないように、胸もとはあえてシンプルにデザインされており、全体的には初々しい印象のドレスに仕上がっていた。
 一方、リーゼロッテはボリュームを出すため、胸元は多めのフリルがあしらわれている。それ以外はシンプルなデザインで、どちらかとういうとリーゼロッテの方が大人っぽいデザインだ。

 ナイスバディすぎるアンネマリーは妖艶に見えないように。幼児体系のリーゼロッテは少しでも大人びて見えるように。お互いがお互いの体型をうらやましく感じているのだが、どちらも所詮はないものねだりだ。コンプレックスとは得てしてそういうものだろう。

「リーゼロッテお嬢様……アンネマリー様も、本当にお美しいです」

 エラが感動で目を潤ませている。そのエラの両脇にエーミールとニコラウス、後ろにはヨハンがいた。

「それにしても、リーゼは随分と公爵様と打ち解けたのね」
「え、ええ、そうね」

 アンネマリーの言葉に頬が赤くなる。打ち解ける方向が間違っているような気がしてならないが、あのジークヴァルト相手では軌道修正するのも難しい。

「おい、勝手に離れるな」

 ふいに後ろから引き寄せられる。ジークヴァルトの腕の中に収まって、リーゼロッテは呆れたようにその顔を見上げた。

「数歩離れただけではございませんか」
「絶対に離れるなと言っただろう」

 さらにぎゅっと抱き寄せられて、周囲から冷やしの声が上がる。臆面もなくこんなことをされると、こちらの方が数倍恥ずかしくなってしまう。
 やめてほしいと思うが、今は悪目立ちミッション発動中だ。仕方なしに、リーゼロッテも周囲に見せつけるように、ジークヴァルトの胸に頭を預けた。

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