氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「フーゲンベルク公爵、ご歓談中のところ失礼します」
人波を縫うように近づいてきたのはブラル伯爵だった。令嬢をひとり連れている。
「娘がどうしてもご挨拶申し上げたいというもので……さあ、イザベラご挨拶を」
「フーゲンベルク公爵様、お初にお目にかかります。この国の宰相を務めますブラル伯爵の娘、イザベラでございます」
イザベラは優雅に礼を取り、その顔を上げた。艶やかな栗色の髪は見事な縦ロールだ。動きに合わせてその縦ロールが、びよんびよんと大きく跳ねる。その様はしなやかなばねを思わせた。
頬を染めながらジークヴァルトを見上げるイザベラの瞳は、それは見事なたれ目だった。父親であるブラル伯爵と並ぶ姿は、どう見ても親子ですよね、といった感じだ。
「公爵様、わたくし、どうしても公爵様とダンスがしたくて……。もちろん踊っていただけますわよね?」
無言のままでいるジークヴァルトにイザベラは上目遣いを送る。その様子は、自分が断られるはずがないと自信に満ちていた。隣にいるリーゼロッテなどガン無視状態だ。
「断る。ダーミッシュ嬢以外と踊る気はない」
そっけなく言われたイザベラが「えっ!?」と声を漏らした。
「ほら、言っただろう? 公爵様にはこんなに可愛らしい婚約者がいらっしゃるんだ。イザベラにはわたしが良縁をみつけてくるから、ちゃんといい子にしていてくれるね?」
「……分かりましたわ、お父様」
言葉とは裏腹に、イザベラが滅茶苦茶不服そうな声音で答えた。それを見たブラル伯爵はデレデレした様子でうんうんと頷いている。
「イザベラは本当に素直でいい子だ。可愛すぎて婿なんか見つからなければいいと本気で思ってしまうね」
親馬鹿が極まったような締まりのない顔になる。そこにニコラウスが割って入ってきた。
「父上、何恥ずかしいことを。イザベラもこれ以上我儘を言うんじゃないぞ」
「分かっていますわ、お兄様」
ツンと顔をそらすと、縦ロールがビヨンと上下に跳ねた。リーゼロッテは思わずその動きを目で追ってしまう。
人波を縫うように近づいてきたのはブラル伯爵だった。令嬢をひとり連れている。
「娘がどうしてもご挨拶申し上げたいというもので……さあ、イザベラご挨拶を」
「フーゲンベルク公爵様、お初にお目にかかります。この国の宰相を務めますブラル伯爵の娘、イザベラでございます」
イザベラは優雅に礼を取り、その顔を上げた。艶やかな栗色の髪は見事な縦ロールだ。動きに合わせてその縦ロールが、びよんびよんと大きく跳ねる。その様はしなやかなばねを思わせた。
頬を染めながらジークヴァルトを見上げるイザベラの瞳は、それは見事なたれ目だった。父親であるブラル伯爵と並ぶ姿は、どう見ても親子ですよね、といった感じだ。
「公爵様、わたくし、どうしても公爵様とダンスがしたくて……。もちろん踊っていただけますわよね?」
無言のままでいるジークヴァルトにイザベラは上目遣いを送る。その様子は、自分が断られるはずがないと自信に満ちていた。隣にいるリーゼロッテなどガン無視状態だ。
「断る。ダーミッシュ嬢以外と踊る気はない」
そっけなく言われたイザベラが「えっ!?」と声を漏らした。
「ほら、言っただろう? 公爵様にはこんなに可愛らしい婚約者がいらっしゃるんだ。イザベラにはわたしが良縁をみつけてくるから、ちゃんといい子にしていてくれるね?」
「……分かりましたわ、お父様」
言葉とは裏腹に、イザベラが滅茶苦茶不服そうな声音で答えた。それを見たブラル伯爵はデレデレした様子でうんうんと頷いている。
「イザベラは本当に素直でいい子だ。可愛すぎて婿なんか見つからなければいいと本気で思ってしまうね」
親馬鹿が極まったような締まりのない顔になる。そこにニコラウスが割って入ってきた。
「父上、何恥ずかしいことを。イザベラもこれ以上我儘を言うんじゃないぞ」
「分かっていますわ、お兄様」
ツンと顔をそらすと、縦ロールがビヨンと上下に跳ねた。リーゼロッテは思わずその動きを目で追ってしまう。