氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
リーゼロッテが驚いた声を上げる。そこには式典用の豪華な騎士服を着たアデライーデが立っていた。艶やかなダークブラウンの髪はポニーテールにされており、金の刺繍が施された黒い眼帯をつけている。それがかえって格好よく思えて、男装の麗人姿に思わず見とれてしまう。
「お姉様はどうしてここに……?」
アデライーデは夜会には出ないと言っていた。リーゼロッテが不思議そうに問うと、アデライーデはニコラウスに視線を向けた。
「ニコラウスと警護の任務を交代したの。今は休憩中よ」
げんなりした様子でニコラウスがため息をついた。
アデライーデが公爵家でしてきた提案は、ふたりが任務を交代してニコラウスが夜会に出席、妹を見張りつつ、イザベラが差し向けた爵位狙いの令嬢除けとして、エラをパートナーとしてエスコートするというものだった。
さらに横にエーミールを侍らせておけば、ニコラウス目当ての令嬢の大半が、イケメン貴公子であるエーミールに流れていくという寸法だ。
それでも爵位目当てで寄ってくる令嬢がいるのなら、ヨハンがそれに立ちはだかる手順だった。ヨハンも子爵家の跡取りとして婚活中である。伯爵家よりは格は落ちるが、多少はそちらに流れていくとの算段だ。
(確かに令嬢は寄ってこないが……)
ニコラウスはそもそもイザベラの暴走を止められる気がしない。父親はあの調子であてにならないし、アデライーデの提案を飲んだことを、今さらながらに後悔していた。
「お姉様、騎士服がとてもお似合いですわ」
「そう? ありがとう」
「ねえ、お兄様、そちらの方は公爵様のお姉様でしょう? わたくしも紹介してくださいな」
割り込むように言ったイザベラをアデライーデはちらりと一瞥しただけで、すぐにリーゼロッテへと視線を戻した。
「ねえ、リーゼロッテ、折角だから一緒に踊りましょう?」
「え? ですが、ジークヴァルト様にここを離れるなと……」
「いいわよ、そんなこと」
「お姉様はどうしてここに……?」
アデライーデは夜会には出ないと言っていた。リーゼロッテが不思議そうに問うと、アデライーデはニコラウスに視線を向けた。
「ニコラウスと警護の任務を交代したの。今は休憩中よ」
げんなりした様子でニコラウスがため息をついた。
アデライーデが公爵家でしてきた提案は、ふたりが任務を交代してニコラウスが夜会に出席、妹を見張りつつ、イザベラが差し向けた爵位狙いの令嬢除けとして、エラをパートナーとしてエスコートするというものだった。
さらに横にエーミールを侍らせておけば、ニコラウス目当ての令嬢の大半が、イケメン貴公子であるエーミールに流れていくという寸法だ。
それでも爵位目当てで寄ってくる令嬢がいるのなら、ヨハンがそれに立ちはだかる手順だった。ヨハンも子爵家の跡取りとして婚活中である。伯爵家よりは格は落ちるが、多少はそちらに流れていくとの算段だ。
(確かに令嬢は寄ってこないが……)
ニコラウスはそもそもイザベラの暴走を止められる気がしない。父親はあの調子であてにならないし、アデライーデの提案を飲んだことを、今さらながらに後悔していた。
「お姉様、騎士服がとてもお似合いですわ」
「そう? ありがとう」
「ねえ、お兄様、そちらの方は公爵様のお姉様でしょう? わたくしも紹介してくださいな」
割り込むように言ったイザベラをアデライーデはちらりと一瞥しただけで、すぐにリーゼロッテへと視線を戻した。
「ねえ、リーゼロッテ、折角だから一緒に踊りましょう?」
「え? ですが、ジークヴァルト様にここを離れるなと……」
「いいわよ、そんなこと」