氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
手にした剣を両手で頭上に掲げ、王は重く響く声で青龍へと祈願の言葉を紡いだ。
「尊き青龍よ。これからも変わらぬブラオエルシュタインへの加護を」
王が祭壇へと宝剣を収めるのと同時に、祭壇下の広間に集まる貴族たちも一斉に跪いた。
これでひと通りの儀式は終了である。
王子と王女がすぐさま祭壇を降り、それに王と王妃がゆっくりと続く。
祈願祭は厳粛なものであるが故、このあと慰労のパーティーなどは催されない。あくまで青龍に感謝を示す儀式であり、貴族の社交の場としては扱われてはいなかった。
しかし、そんな建前を鵜呑みにする者などいるわけがない。野心を持った多くの貴族が、退場する王族たちへと少しでも近づこうと動き始めた。
厳かな雰囲気に包まれていたその場は、一気に変化する。人の流れができ、囁き合うような声があちこちからさざ波のように広がった。
この場の護衛の指揮をとるキュプカー隊長が、その様子にいち早く動き出した。各場所に配備された近衛の騎士に目配せを送り、流れに沿って新たな配置を促す。
この場の貴族の目当ては、ほとんどが王太子殿下だ。婚約者のいない王子に、自分の娘を売り込もうとする貴族は後を絶たない。
王と王妃が、王子の伴侶はハインリヒの意向次第と明言しているため、その動きは尚更だった。王子に気に入られさえすれば、王太子妃の座を手に入れられるのだから。
病弱のクリスティーナ王女は、王により降嫁はさせないと宣言されているため、テレーズ第二王女がいなくなった今、王族につなぎを取ろうとする貴族はハインリヒ王子に集中していた。
まずは、護衛に守られた王と王妃が連れ立って、王族専用の出入り口からその場を退場していった。次に、数人の護衛と共にクリスティーナ王女が、扉の向こうに姿を消していく。
「尊き青龍よ。これからも変わらぬブラオエルシュタインへの加護を」
王が祭壇へと宝剣を収めるのと同時に、祭壇下の広間に集まる貴族たちも一斉に跪いた。
これでひと通りの儀式は終了である。
王子と王女がすぐさま祭壇を降り、それに王と王妃がゆっくりと続く。
祈願祭は厳粛なものであるが故、このあと慰労のパーティーなどは催されない。あくまで青龍に感謝を示す儀式であり、貴族の社交の場としては扱われてはいなかった。
しかし、そんな建前を鵜呑みにする者などいるわけがない。野心を持った多くの貴族が、退場する王族たちへと少しでも近づこうと動き始めた。
厳かな雰囲気に包まれていたその場は、一気に変化する。人の流れができ、囁き合うような声があちこちからさざ波のように広がった。
この場の護衛の指揮をとるキュプカー隊長が、その様子にいち早く動き出した。各場所に配備された近衛の騎士に目配せを送り、流れに沿って新たな配置を促す。
この場の貴族の目当ては、ほとんどが王太子殿下だ。婚約者のいない王子に、自分の娘を売り込もうとする貴族は後を絶たない。
王と王妃が、王子の伴侶はハインリヒの意向次第と明言しているため、その動きは尚更だった。王子に気に入られさえすれば、王太子妃の座を手に入れられるのだから。
病弱のクリスティーナ王女は、王により降嫁はさせないと宣言されているため、テレーズ第二王女がいなくなった今、王族につなぎを取ろうとする貴族はハインリヒ王子に集中していた。
まずは、護衛に守られた王と王妃が連れ立って、王族専用の出入り口からその場を退場していった。次に、数人の護衛と共にクリスティーナ王女が、扉の向こうに姿を消していく。