氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
紅蓮の炎は瘴気を放ち、息をすることもままならない。絶望を拒絶するようにジークヴァルトが指を伸ばした瞬間、紅蓮の中から緑の揺らめきが立ち上った。
ジークヴァルトの目の前で、リーゼロッテがふわりと浮き上がった。蜂蜜色の髪がたなびき、すっと瘴気に手のひらを向ける。その小さな手から、なんの力みもなく緑の輝きが放たれた。そよ風のような心地よさを感じたが、その緑は旋風のごとくの鋭さをもって、一気に瘴気をかき消した。
部屋の中が再び青龍の神気に満たされると、リーゼロッテは脱力するようにその場に崩れ落ちた。
咄嗟にジークヴァルトが受け止める。小さな体が腕に収まる瞬間、リーゼロッテの体から浮き上がり、それはふわりと離れていった。
リーゼロッテによく似た女性が宙に浮いている。その姿を見上げて、リーゼロッテが小さくつぶやいた。
「……マルグリット母様?」
わずかに振り返ると、その女性はふうっと大気に溶けるように見えなくなった。
「膜だ……」
不意にジークヴァルトが言う。
「あれがお前を守っていた膜の本体だ」
「膜……」
リーゼロッテを守っているのはマルグリットの力だ。王城でジークハルトがそんなことを言っていた。母は未だ自分を包んでいてくれたのか。
有無を言わさぬ恐怖と、母のぬくもりと。あまりにも一瞬の出来事で、心が追いついてこない。
リーゼロッテは放心したように、ジークヴァルトの胸に縋りついた。
ジークヴァルトの目の前で、リーゼロッテがふわりと浮き上がった。蜂蜜色の髪がたなびき、すっと瘴気に手のひらを向ける。その小さな手から、なんの力みもなく緑の輝きが放たれた。そよ風のような心地よさを感じたが、その緑は旋風のごとくの鋭さをもって、一気に瘴気をかき消した。
部屋の中が再び青龍の神気に満たされると、リーゼロッテは脱力するようにその場に崩れ落ちた。
咄嗟にジークヴァルトが受け止める。小さな体が腕に収まる瞬間、リーゼロッテの体から浮き上がり、それはふわりと離れていった。
リーゼロッテによく似た女性が宙に浮いている。その姿を見上げて、リーゼロッテが小さくつぶやいた。
「……マルグリット母様?」
わずかに振り返ると、その女性はふうっと大気に溶けるように見えなくなった。
「膜だ……」
不意にジークヴァルトが言う。
「あれがお前を守っていた膜の本体だ」
「膜……」
リーゼロッテを守っているのはマルグリットの力だ。王城でジークハルトがそんなことを言っていた。母は未だ自分を包んでいてくれたのか。
有無を言わさぬ恐怖と、母のぬくもりと。あまりにも一瞬の出来事で、心が追いついてこない。
リーゼロッテは放心したように、ジークヴァルトの胸に縋りついた。