氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
歴代の王たちの肖像画を幾枚も通り過ぎ、廊下の最果てにある託宣の間へとたどり着く。扉に向けて、自身の力を流し込むと、龍のレリーフが紫に輝き、その扉は静かに開いて行った。
託宣の泉の前にいた彼女のやわらかそうな亜麻色の髪がふわりと広がった。暗がりの中、アンネマリーのうなじの上あたりから、ほのかな明かりがもれる。
丸く文様が描かれた、ハインリヒの龍のあざに似た光が、髪の隙間から垣間見えた。背後の泉からあふれ出ては消えていく文言が目に入り、その胸を詰まらせる。
左手の甲にあるハインリヒのあざが耐えがたく熱を持つ。そこにいる、対のあざを求めるかのように――
思うよりも早く、体が動いた。
会いたかった、触れたかった、手に入れたかった――
「アンネマリー……!」
その声にアンネマリーがゆっくりと振り返る。
ハインリヒは龍のあざがある自身の左手を、アンネマリーの髪の中に差し入れた。そのまま後頭部を支えてその体をきつく抱きしめる。
あざとあざが反応して、そこを中心にふたりの体が溶けあうように熱を帯びていく。
「ああっ」
かつて感じたことのない突然の熱に、アンネマリーは何が起きたかわからない。ただハインリヒの胸元に頬を寄せ、その体にすがりついた。
ふたりはいまだない近い距離で、互いを見つめ合った。切なそうにハインリヒがアンネマリーの顔を自身の胸に引き寄せる。
「王子、殿下……?」
耳に直接ハインリヒの鼓動を聞きながら、驚きのあまり声がかすれる。ハインリヒの紫の瞳が眇められ、その表情が苦しい色に染められた。
「ハインリヒと。もう一度名前で呼んではくれないか……?」
柔らかい肢体を閉じ込めるように抱きしめる。
「すまない……わたしは君を傷つけた。だが、君が嫌がっても、わたしはもう、君を手放すことなどできはしない……!」
その腕の中、苦しいほどに抱かれる。やわらかな髪の耳元に顔をうずめ、ハインリヒはアンネマリーをきつくきつく抱きしめた。
託宣の泉の前にいた彼女のやわらかそうな亜麻色の髪がふわりと広がった。暗がりの中、アンネマリーのうなじの上あたりから、ほのかな明かりがもれる。
丸く文様が描かれた、ハインリヒの龍のあざに似た光が、髪の隙間から垣間見えた。背後の泉からあふれ出ては消えていく文言が目に入り、その胸を詰まらせる。
左手の甲にあるハインリヒのあざが耐えがたく熱を持つ。そこにいる、対のあざを求めるかのように――
思うよりも早く、体が動いた。
会いたかった、触れたかった、手に入れたかった――
「アンネマリー……!」
その声にアンネマリーがゆっくりと振り返る。
ハインリヒは龍のあざがある自身の左手を、アンネマリーの髪の中に差し入れた。そのまま後頭部を支えてその体をきつく抱きしめる。
あざとあざが反応して、そこを中心にふたりの体が溶けあうように熱を帯びていく。
「ああっ」
かつて感じたことのない突然の熱に、アンネマリーは何が起きたかわからない。ただハインリヒの胸元に頬を寄せ、その体にすがりついた。
ふたりはいまだない近い距離で、互いを見つめ合った。切なそうにハインリヒがアンネマリーの顔を自身の胸に引き寄せる。
「王子、殿下……?」
耳に直接ハインリヒの鼓動を聞きながら、驚きのあまり声がかすれる。ハインリヒの紫の瞳が眇められ、その表情が苦しい色に染められた。
「ハインリヒと。もう一度名前で呼んではくれないか……?」
柔らかい肢体を閉じ込めるように抱きしめる。
「すまない……わたしは君を傷つけた。だが、君が嫌がっても、わたしはもう、君を手放すことなどできはしない……!」
その腕の中、苦しいほどに抱かれる。やわらかな髪の耳元に顔をうずめ、ハインリヒはアンネマリーをきつくきつく抱きしめた。