氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「ではわたくしたちはそろそろ戻るとするわ」
王妃の合図とともに晩餐が終わりを迎える。このタイミングでアンネマリーは、いつも王妃と共に離宮へ帰ってしまう。
別れ際にその頬に口づける。離れがたく思えて、その柔らかい体を抱き寄せた。アンネマリーも遠慮がちにハインリヒを抱きしめ返してくる。しかし、王や王妃の手前、この時間はいつもごくわずかだ。
「今夜はゆっくり休んでくださいね。ご無理をしないわけにはいかないとわかっておりますが、ハインリヒ様がお体を壊したりしないかわたくし心配で……」
気づかわし気にアンネマリーが見上げてくる。その顔を見ているだけで、疲れなど吹き飛んでしまう。今すぐ唇の感触を確かめたい。昼間のアンネマリーからの口づけを思い出して、ハインリヒの体に熱が集まった。
(ああ、アンネマリー……その唇もこの柔らかな体も、すべて、すべてわたしのものだ……)
服の上から触っても柔らかくあたたかなこの肢体に、直接触れたらどうなってしまうだろう。ドレスの下に隠されている姿を想像すると、いてもたってもいられなくなる。
(託宣の間でのアンネマリーはものすごく可愛かった……)
深く口づけながらその背中をなぞると、吐息と共に小さく甘やかな声がもれた。思わず声が出てしまったというようなアンネマリーの反応が、いまだに頭の中で繰り返し再生される。
あのままカイが止めに入らなければ――
肩口にある大きなリボンをほどいて、華奢な肩をあらわにして、白く細い首筋を唇でついばみながら、覗く胸の谷間に手を伸ばして……。
「ハインリヒ様?」
はっと意識を戻すと、目の前でアンネマリーが不思議そうな顔をしていた。少し不安げな瞳で、ハインリヒをじっと見上げている。
「い、いや、なんでもないんだ!」
(本人を目の前にして、わたしは何という想像を……!)
ひとり動揺しているハインリヒに、アンネマリーは再び悲し気な視線を送った。
「では、ディートリヒ王、御前失礼いたします」
アンネマリーは優雅な礼を取る。王妃に促され離宮へと戻っていくアンネマリーの背を、名残惜しそうにハインリヒはいつまでも見送った。
王妃の合図とともに晩餐が終わりを迎える。このタイミングでアンネマリーは、いつも王妃と共に離宮へ帰ってしまう。
別れ際にその頬に口づける。離れがたく思えて、その柔らかい体を抱き寄せた。アンネマリーも遠慮がちにハインリヒを抱きしめ返してくる。しかし、王や王妃の手前、この時間はいつもごくわずかだ。
「今夜はゆっくり休んでくださいね。ご無理をしないわけにはいかないとわかっておりますが、ハインリヒ様がお体を壊したりしないかわたくし心配で……」
気づかわし気にアンネマリーが見上げてくる。その顔を見ているだけで、疲れなど吹き飛んでしまう。今すぐ唇の感触を確かめたい。昼間のアンネマリーからの口づけを思い出して、ハインリヒの体に熱が集まった。
(ああ、アンネマリー……その唇もこの柔らかな体も、すべて、すべてわたしのものだ……)
服の上から触っても柔らかくあたたかなこの肢体に、直接触れたらどうなってしまうだろう。ドレスの下に隠されている姿を想像すると、いてもたってもいられなくなる。
(託宣の間でのアンネマリーはものすごく可愛かった……)
深く口づけながらその背中をなぞると、吐息と共に小さく甘やかな声がもれた。思わず声が出てしまったというようなアンネマリーの反応が、いまだに頭の中で繰り返し再生される。
あのままカイが止めに入らなければ――
肩口にある大きなリボンをほどいて、華奢な肩をあらわにして、白く細い首筋を唇でついばみながら、覗く胸の谷間に手を伸ばして……。
「ハインリヒ様?」
はっと意識を戻すと、目の前でアンネマリーが不思議そうな顔をしていた。少し不安げな瞳で、ハインリヒをじっと見上げている。
「い、いや、なんでもないんだ!」
(本人を目の前にして、わたしは何という想像を……!)
ひとり動揺しているハインリヒに、アンネマリーは再び悲し気な視線を送った。
「では、ディートリヒ王、御前失礼いたします」
アンネマリーは優雅な礼を取る。王妃に促され離宮へと戻っていくアンネマリーの背を、名残惜しそうにハインリヒはいつまでも見送った。