氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
◇
「その様子ではまだのようね?」
星読みの間に戻ってくるなり言われたイジドーラの言葉に、アンネマリーは小さく首をかしげた。
「まあ、いいわ。ルイーズ、あれを」
控えていた女官のルイーズに目配せを送ると、ルイーズは白い箱をアンネマリーに差し出してきた。
「開けてごらんなさい」
「イジドーラ様、これは……?」
促され蓋を開けると、純白のシルクのようなやわらかい布地が現れた。
「そちらは王妃様が立ち上げたブランドの寝巻にございます」
「試作品なのよ。アンネマリーに着心地を確かめてもらおうと思って」
「これが寝巻……?」
手にしたものは手触りはいいが、そのすべらかな生地は冬の寝巻に向きそうもなかった。肩ひもは細くなんとも心もとない。持ち上げてみると、前と背中を合わせても、向こうの景色が透けて見えるほどの生地の薄さだ。
「今夜はそれを着て過ごしてちょうだい」
「……わかりましたわ、イジドーラ様」
王妃の言葉に否の選択肢はない。この上から厚手のガウンを羽織れば問題ないだろう。そう結論付けて、アンネマリーは素直に頷いた。
「今着てみてほしいのだけれど」
「え? 今ですか?」
戸惑いながらもルイーズと共にクローゼットへと向かう。手伝われながら、着ていたドレスを脱いでいく。しかし、さすがにこれを身につけたところを見られるのは恥ずかしく思えて、アンネマリーはルイーズにひとまず衣裳部屋から出て行ってもらった。
大きな姿見の前に立ち、自分の姿をまじまじと眺める。言われるがまま袖を通してみたものの、とてもではないが人様の前に出られるような格好ではない。細い肩ひもに膝上丈のこれは、寝巻というよりもキャミソールだ。
(これは……いわゆるベビードールというやつなのかしら……?)
裾には繊細なレースが施されており、その仕立ては一級品だとひと目でわかる。だが、あまりにも防御力が低すぎる。透ける布地は体のラインがはっきりとわかる上に、自分の大きすぎる胸も丸見えだった。
「その様子ではまだのようね?」
星読みの間に戻ってくるなり言われたイジドーラの言葉に、アンネマリーは小さく首をかしげた。
「まあ、いいわ。ルイーズ、あれを」
控えていた女官のルイーズに目配せを送ると、ルイーズは白い箱をアンネマリーに差し出してきた。
「開けてごらんなさい」
「イジドーラ様、これは……?」
促され蓋を開けると、純白のシルクのようなやわらかい布地が現れた。
「そちらは王妃様が立ち上げたブランドの寝巻にございます」
「試作品なのよ。アンネマリーに着心地を確かめてもらおうと思って」
「これが寝巻……?」
手にしたものは手触りはいいが、そのすべらかな生地は冬の寝巻に向きそうもなかった。肩ひもは細くなんとも心もとない。持ち上げてみると、前と背中を合わせても、向こうの景色が透けて見えるほどの生地の薄さだ。
「今夜はそれを着て過ごしてちょうだい」
「……わかりましたわ、イジドーラ様」
王妃の言葉に否の選択肢はない。この上から厚手のガウンを羽織れば問題ないだろう。そう結論付けて、アンネマリーは素直に頷いた。
「今着てみてほしいのだけれど」
「え? 今ですか?」
戸惑いながらもルイーズと共にクローゼットへと向かう。手伝われながら、着ていたドレスを脱いでいく。しかし、さすがにこれを身につけたところを見られるのは恥ずかしく思えて、アンネマリーはルイーズにひとまず衣裳部屋から出て行ってもらった。
大きな姿見の前に立ち、自分の姿をまじまじと眺める。言われるがまま袖を通してみたものの、とてもではないが人様の前に出られるような格好ではない。細い肩ひもに膝上丈のこれは、寝巻というよりもキャミソールだ。
(これは……いわゆるベビードールというやつなのかしら……?)
裾には繊細なレースが施されており、その仕立ては一級品だとひと目でわかる。だが、あまりにも防御力が低すぎる。透ける布地は体のラインがはっきりとわかる上に、自分の大きすぎる胸も丸見えだった。