氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
 隠しルートの内容はこうだ。
 国同士の友好の一環として第一王女のクリスティーナが、アランシーヌの第一王子に嫁いでいく。そこでアランシーヌ国内で内紛が起こり、第二王子の手の者によってクリスティーナが暗殺されてしまうのだ。

 アランシーヌ国内の派閥争いからブラオエルシュタイン国との戦争にまで発展していく中、出会ったヒロインと第三王子のラブストーリーが展開していく。

 内容的には敵同士の禁断の恋で、カイルートとたいして変わりはないが、意外にもこのルートで死ぬのはクリスティーナ王女だけである。
 そして、アンネマリーがデッドエンドを迎えることのない、唯一のルートでもあった。

 このルートでは、クリスティーナ姉様が死ぬことになる。しかし、現実で姉様は龍の託宣を受けた身だ。
 龍から賜った託宣は、この国では絶対に無視することはできない。幸いにも姉様の受けた託宣は、隣国へと嫁ぐことはできないような内容らしかった。

 とするならば、託宣を受けなかった第二王女たる自分が、アランシーヌ国に嫁げばいいのではなかろうか。


 幸いわたしはこの隠しルートを一番やりこんでいた。第三王子のCVが、自分の大好きな声優だったのだ。

 第三王子アベルは禁断のKRGにおいて、わたしの一番の推しキャラだ。アベル王子は考えなしの猪突猛進型なオレ様王子だったが、その分まっすぐで裏表のないさっぱりとした性格だった。
 何より声がいい。その声で愛をささやかれるのはたまらなかった。

 ゲームではこのルートを開放する条件が厳しすぎて、脱落したユーザーがほとんどだった。それくらい攻略対象とのフラグを折るのがたいへんだったのだ。

 しかし、今実際に王女として過ごしている身としては、攻略対象たちとフラグを立てようとするほうがよほど困難に思えた。
 これはアランシーヌルートへ行くしかない。

 例え嫁ぐ先が推しの第三王子ではなく、ぼんくら第一王子なのだとしても。第一王子妃として命を狙われることになるだとしても。

 幸いアランシーヌ国でのパワーバランスも陰謀のからくりも、ゲームで知り尽くしている。むざむざ殺されに行くつもりはない。
 転生王女としてゲームとは違う結末を目指し、ハッピーエンドを迎えようではないか。

 当時二歳になったばかりのわたしは、そう決意を固めたのだった。


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