氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
 わたしは混乱した。
 攻略対象たちとフラグが立たないよう細心の注意を払い、ようやく上がった縁談話に、いよいよこれからが本番だと意気込んでいたのに、いきなり出鼻をくじかれた形となった。

 もっとも、第一王女であるクリスティーナ姉様がアランシーヌに嫁がない時点で、ゲームとは完全に違う道をたどっているのかもしれない。

 しかしゲームと展開がずれてきたからと言って、まだまだ油断することはできなかった。
 アランシーヌルートではアンネマリーの死亡エンドはないものの、彼女に全く危険がないというわけではないのだ。

 アンネマリーは今、父親の侯爵と共にアランシーヌで暮らしている。それだけでも気が気ではないのだが、アンネマリーがらみのイベントが起きるのは、アランシーヌで王子との婚儀が済んだ後のことだ。

 ゲームでは異国に嫁いだ王女のサポートとしてアンネマリーがついていく展開なのだが、実際にもわたしが第三王子妃となったら、アランシーヌの文化に詳しいアンネマリーが話し相手として選ばれることだろう。

 起こるイベントとしては、アランシーヌの王宮内でアンネマリーが何者かに襲われそうなる。対応を間違えなければ、イベントは未遂として回避できるのだ。アンネマリーに怖い思いをさせることは避けられないが、ゲームではそれがアンネマリーにとっての最良かつ最善のストーリーだった。


 この時点でわたしはまだ、アンネマリーに実際には出会えていなかった。
 現実の彼女がどんな令嬢だったとしても、必ず守ると誓った。そのために今までたゆまぬ努力を続けてきたのだから。

 最後に母様がくれた言葉を胸に、十六歳になったわたしはアランシーヌの第三王子のもとへ嫁いでいった。


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