氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
 少し残念そうなリーゼロッテをジークヴァルトはちらっとみやり、その後に、リーゼロッテの背後のさらに遠くをじっと見つめた。
 リーゼロッテもつられて、自分の後ろを振り返った。そこには、こちらを遠巻きに見ているおめめきゅるるん小鬼隊が、押しくらまんじゅうのようにぎゅうぎゅう身を寄せ合っていた。

「あ……あれは、その……」
「いい。オレもカークを通して()ていた」
「え?」

 その言葉に思わず壁際に控えていたカークに視線をやる。ジークヴァルトの言葉に、カークはぴしりと背筋を伸ばしなおした。

(なんかまるで、子供の見守りサービスみたい……)

 少し情けない気分になってリーゼロッテは眉を下げたが、どうやら叱られることはないらしい。そう思ってほっと息をついた。

「十匹までだぞ」

 不意にジークヴァルトにそう言われ、リーゼロッテはこてんと首をかしげた。

「十匹……でございますか?」
「ああ。アレをするのは一日十匹までだ」

 アレとは、どうやらドロデロの異形をきゅるんと可愛くすることらしい。それがわかるとリーゼロッテはうれしそうにはにかんだ。

「はい、お約束は必ず守りますわ」
「ああ」

 そう言ってジークヴァルトは、再びふいと顔を逸らした。

「あの、ヴァルト様」
「なんだ」
「今度、お忍びで王都に遊びに行ってもよろしいでしょうか?」

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