さくらびと。 恋 番外編(3)





その時だった。

次の患者の腕を押さえていた蕾の手に、不意に有澤先生の手が重ねられた。




「……っ」




体温の高い大きな手が、蕾の白い手袋の上に重なる。



ドキンと心臓が跳ねた。





周りの目がない隙をついた巧妙なスキンシップに呼吸が乱れる。






「では、あちらで待機しててくださいねー。」






そう言いながらさりげなく手を離す有澤先生。







だがその温もりは長く蕾の指先に残った。








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