さくらびと。 恋 番外編(3)
年末に向けて慌ただしい日々が続いていた。


病棟は通常より混雑し、誰もが少し疲れていた。




そんな中で起こしてしまった医療ミスは、蕾にとって今の病棟では最も深刻なものだったかもしれない。



「桜井さん!緊急事態よ!」




吉岡さんの悲痛な叫びに飛び起きた時、すべてが遅すぎたことを悟った。


誤った量の安定剤を服用してしまった患者はすでに過度の鎮静状態になっていた。



即座に対処に当たって事なきを得たが、結果的に板垣先生への報告が不可避となった。



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