さくらびと。 恋 番外編(3)
翌日、少し腫れた瞼を気にしながら、
蕾は夜勤に出勤していた。
あれから、何も考えないようにして仕事を一段落終えた。
休憩室にはひとりぽつんと蕾が佇んでいる。
暫くして、ナースステーションに誰かが入って来たのか、足音がだんだん近づいてきた。
「桜井さん、大丈夫?」
薄暗い休憩室に入るなり、有澤先生の心配そうな声が蕾を迎えた。彼
の視線は明らかに赤く腫れた蕾の目元に向けられていた。
「はい……問題ありません」強がって答える蕾だが、声はかすれている。
有澤先生は、ゆっくりと蕾の隣の席に腰かけた。