寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「無知なる者? 義姉上、何ですかそれは? また聞き慣れない言葉ですね」
ルカは異形の者の話に興味津々だ。昔から知識欲旺盛な弟だったが、その吸収力はエッカルトも両手離しに褒めているほどだ。
「無知なる者はね、異形が視えないし、異形もまた悪さができない人間の事を言うの。ルカも無知なる者なのよ?」
「わたしがですか?」
驚いたように言った後、ルカは悲しそうにツェツィーリアを見た。
「ツェツィー様も異形の者が視えるのですよね。あなたを怖がらせる存在を認識できないなんて……わたしは一体どうしたらいいのでしょう」
「わ、わたくし異形なんて怖くないわ! いい加減なこと言わないで!」
ふたりのやりとりを微笑ましく見つめながら、リーゼロッテはルカに助け舟を出す。
「ルカがそばにいるだけで、異形の者は寄ってこないのよ」
「おそばにいることで、わたしはツェツィー様をお守りできるのですか?」
頷くと、ルカは瞳を輝かせた。
「ツェツィー様、この命に変えましても、わたしがあなたをお守りします!」
「な、何よ、ルカなんて明日にはダーミッシュ領に帰ってしまうんでしょう? それに簡単に命をかけるだなんて言わないで!」
ばん、とテーブルを叩くとツェツィーリアは椅子から飛び降りて、屋敷の方へと駆け出した。
「ツェツィー様!」
ルカがその後を追おうと席を離れる。数歩進んでから振り返り、「義姉上、中座する無礼をお許しください」と礼を取ってから、ルカは駆け足でツェツィーリアの背を追っていった。リーゼロッテが目配せすると、そばに控えていた使用人が、大慌てでふたりの行った方へと走っていく。
ルカは異形の者の話に興味津々だ。昔から知識欲旺盛な弟だったが、その吸収力はエッカルトも両手離しに褒めているほどだ。
「無知なる者はね、異形が視えないし、異形もまた悪さができない人間の事を言うの。ルカも無知なる者なのよ?」
「わたしがですか?」
驚いたように言った後、ルカは悲しそうにツェツィーリアを見た。
「ツェツィー様も異形の者が視えるのですよね。あなたを怖がらせる存在を認識できないなんて……わたしは一体どうしたらいいのでしょう」
「わ、わたくし異形なんて怖くないわ! いい加減なこと言わないで!」
ふたりのやりとりを微笑ましく見つめながら、リーゼロッテはルカに助け舟を出す。
「ルカがそばにいるだけで、異形の者は寄ってこないのよ」
「おそばにいることで、わたしはツェツィー様をお守りできるのですか?」
頷くと、ルカは瞳を輝かせた。
「ツェツィー様、この命に変えましても、わたしがあなたをお守りします!」
「な、何よ、ルカなんて明日にはダーミッシュ領に帰ってしまうんでしょう? それに簡単に命をかけるだなんて言わないで!」
ばん、とテーブルを叩くとツェツィーリアは椅子から飛び降りて、屋敷の方へと駆け出した。
「ツェツィー様!」
ルカがその後を追おうと席を離れる。数歩進んでから振り返り、「義姉上、中座する無礼をお許しください」と礼を取ってから、ルカは駆け足でツェツィーリアの背を追っていった。リーゼロッテが目配せすると、そばに控えていた使用人が、大慌てでふたりの行った方へと走っていく。