寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
◇
「ルカ様、リーゼロッテお嬢様、お帰りなさいませ」
ダーミッシュ家の家令であるダニエルが、一行を迎えた。
「あら? お義父様とお義母様は?」
「おふたりはご旅行からまだ帰っておられません。昨日お戻りになる予定でしたが、道の整備が入ったとかで、少々回り道を余儀なくされたと連絡がございました。公爵様に直接ご挨拶申し上げられないこと、主にかわり謝罪申し上げます」
ダニエルが深々と頭を下げると、ジークヴァルトはその顔をすぐ上げさせた。
「いい、オレも連絡は受けている。長居するつもりはない。気を使わなくていい」
そう言うと、ジークヴァルトはリーゼロッテに視線を戻した。
「ダーミッシュ嬢、お前の部屋はどこだ?」
「わたくしの部屋でございますか?」
「ああ、中を確かめたい」
その台詞にダニエルとエラが目を見合わせた。だが、公爵の命令に否を言える者はこの場にいない。言われるがまま、ジークヴァルトをリーゼロッテの自室へと案内することになった。
「ジークヴァルト様、こちらですわ」
長いこと使っていなかった自室に入る。部屋はいつも使用人が掃除をしてくれるので、汚れたところはないはずだ。だが、自分の部屋に家族以外を入れるとなると、やはり緊張してしまう。
エラも一緒に着いてきてくれている。心強く感じてほっと息をつくと、次いでリーゼロッテは部屋をぐるりと見まわした。
(変なものは置いてないわよね)
読みかけの本とか、ちょっとした落書きとか、もしかしたらそんなものはあるかもしれない。
「ああ、久しぶりのお部屋は落ち着きますわ~」
見られたくないものがあったら速攻で隠そうと、リーゼロッテは何気ないふりを装って、部屋の中をうろうろと歩き回った。
そんなリーゼロッテをしり目に、ジークヴァルトは確かめるように部屋の中をゆっくりと歩いていく。この部屋にはジークヴァルトが贈ってくれた、調度品が一式置かれている。今思えばこれらはすべて、フーゲンベルク家のブランド家具だったのだ。
「ルカ様、リーゼロッテお嬢様、お帰りなさいませ」
ダーミッシュ家の家令であるダニエルが、一行を迎えた。
「あら? お義父様とお義母様は?」
「おふたりはご旅行からまだ帰っておられません。昨日お戻りになる予定でしたが、道の整備が入ったとかで、少々回り道を余儀なくされたと連絡がございました。公爵様に直接ご挨拶申し上げられないこと、主にかわり謝罪申し上げます」
ダニエルが深々と頭を下げると、ジークヴァルトはその顔をすぐ上げさせた。
「いい、オレも連絡は受けている。長居するつもりはない。気を使わなくていい」
そう言うと、ジークヴァルトはリーゼロッテに視線を戻した。
「ダーミッシュ嬢、お前の部屋はどこだ?」
「わたくしの部屋でございますか?」
「ああ、中を確かめたい」
その台詞にダニエルとエラが目を見合わせた。だが、公爵の命令に否を言える者はこの場にいない。言われるがまま、ジークヴァルトをリーゼロッテの自室へと案内することになった。
「ジークヴァルト様、こちらですわ」
長いこと使っていなかった自室に入る。部屋はいつも使用人が掃除をしてくれるので、汚れたところはないはずだ。だが、自分の部屋に家族以外を入れるとなると、やはり緊張してしまう。
エラも一緒に着いてきてくれている。心強く感じてほっと息をつくと、次いでリーゼロッテは部屋をぐるりと見まわした。
(変なものは置いてないわよね)
読みかけの本とか、ちょっとした落書きとか、もしかしたらそんなものはあるかもしれない。
「ああ、久しぶりのお部屋は落ち着きますわ~」
見られたくないものがあったら速攻で隠そうと、リーゼロッテは何気ないふりを装って、部屋の中をうろうろと歩き回った。
そんなリーゼロッテをしり目に、ジークヴァルトは確かめるように部屋の中をゆっくりと歩いていく。この部屋にはジークヴァルトが贈ってくれた、調度品が一式置かれている。今思えばこれらはすべて、フーゲンベルク家のブランド家具だったのだ。