寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
◇
「うわぁ、なかなかの所蔵ですね。数日お邪魔することになりますが、かまいませんか?」
本棚が立ち並ぶ書庫を前にしたカイがこちらを振り返ると、隣に立つ義父フーゴが「もちろんです」と頷いた。
「デルプフェルト様、よろしければ伯爵家に泊まっていかれませんか? 街から通うのも不便でございましょう」
「いえ、お気遣いなく。ダーミッシュ領の街並みも見て回りたいので」
「でしたらそのほかご入用のものがございましたら、何なりとお申し付けください」
その言葉にカイは少し考えるそぶりをして、にっこりと笑顔を作った。
「では、ダーミッシュ伯爵、お言葉に甘えましてひとつだけ。最終日にでも、ダーミッシュ領で取り入れている、領民向けの職業学校を見学させてもらえませんか? 王妃殿下がそのシステムについてご興味をお持ちで、一度見てくるように言われているんです」
「王妃殿下が。それは光栄です。では最終日にはご案内できるよう、取り計らっておきます」
「じゃあ、リーゼロッテ嬢は書庫の調べ物を手伝ってくれるかな?」
リーゼロッテが頷くと、フーゴはやさし気に微笑んだ。
「リーゼロッテ、わたしは戻るが、デルプフェルト様のお邪魔はしないようにするんだよ」
「はい、お義父様」
やや疲れた表情でフーゴはその場を後にした。ダーミッシュ家へ帰ってから数日たつが、その間フーゴは、ルカのプレゼン攻撃に辟易しているらしい。
「聞いたよ。弟がレルナー家のツェツィーリア様を狙ってるんだって?」
「お耳がお早いのですね……」
もう少しましな言い方はないかとも思ったが、まあ、カイの言うことはおおむね間違ってはいない。ルカはツェツィーリアと婚約するにあたって、レルナー家とダーミッシュ家双方に、どんなメリットがあるのかをフーゴに猛プッシュしているのだ。
「うわぁ、なかなかの所蔵ですね。数日お邪魔することになりますが、かまいませんか?」
本棚が立ち並ぶ書庫を前にしたカイがこちらを振り返ると、隣に立つ義父フーゴが「もちろんです」と頷いた。
「デルプフェルト様、よろしければ伯爵家に泊まっていかれませんか? 街から通うのも不便でございましょう」
「いえ、お気遣いなく。ダーミッシュ領の街並みも見て回りたいので」
「でしたらそのほかご入用のものがございましたら、何なりとお申し付けください」
その言葉にカイは少し考えるそぶりをして、にっこりと笑顔を作った。
「では、ダーミッシュ伯爵、お言葉に甘えましてひとつだけ。最終日にでも、ダーミッシュ領で取り入れている、領民向けの職業学校を見学させてもらえませんか? 王妃殿下がそのシステムについてご興味をお持ちで、一度見てくるように言われているんです」
「王妃殿下が。それは光栄です。では最終日にはご案内できるよう、取り計らっておきます」
「じゃあ、リーゼロッテ嬢は書庫の調べ物を手伝ってくれるかな?」
リーゼロッテが頷くと、フーゴはやさし気に微笑んだ。
「リーゼロッテ、わたしは戻るが、デルプフェルト様のお邪魔はしないようにするんだよ」
「はい、お義父様」
やや疲れた表情でフーゴはその場を後にした。ダーミッシュ家へ帰ってから数日たつが、その間フーゴは、ルカのプレゼン攻撃に辟易しているらしい。
「聞いたよ。弟がレルナー家のツェツィーリア様を狙ってるんだって?」
「お耳がお早いのですね……」
もう少しましな言い方はないかとも思ったが、まあ、カイの言うことはおおむね間違ってはいない。ルカはツェツィーリアと婚約するにあたって、レルナー家とダーミッシュ家双方に、どんなメリットがあるのかをフーゴに猛プッシュしているのだ。