寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「はは、職業柄ね。でも、微妙だなー。レルナー家とフーゲンベルク家ってあまりいい関係じゃないからね。そこら辺がネックにならないといいんだけど」
「え? そうなのですか?」

 フーゲンベルク家にはユリウスも護衛として常に滞在している。ユリウスはレルナー公爵の弟な上、先代フーゲンベルク公爵のジークフリートとは従兄弟(いとこ)同士だ。ツェツィーリアもジークヴァルトを慕っているし、それがどうしてそうなるのだろう。

「先々代のレルナー公爵がわりといい加減な人物でね。その頃から仲は悪いみたい」

 親世代の(いさか)いが、後世に脈々と受け継がれていく。貴族ではよくある話だ。原因は名誉だったり裏切りだったり、理由は様々だ。

「まあ、ダーミッシュ領は産業が栄えているから、うまくいけば話くらいは聞いてもらえるかもね。でも、相手は公爵家だし、相当いい条件を提示しないと、ほかの候補に勝てないんじゃないかな?」

 第三者の客観的な意見なだけに、それが現実なのだろうと思えてくる。姉としてルカを応援してやりたいが、自分にできることなどほぼないと言っていい。

(ジークヴァルト様も、手を尽くすと言ってくださってたけど……)
 やはり迷惑になっているのではと心配になってきた。

「それはさておき、書庫の調査を始めようかな。リーゼロッテ嬢、ヒカリダケ見つけたらよろしくね?」
「そうそう見つかるものではありませんわ」
「はは、リーゼロッテ嬢ならきっとできるよ」

 褒められているのか馬鹿にされているのかよく分からない返しに、リーゼロッテは困ったような顔をした。

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