寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
昨日の続きで、託宣に関わるような記述のある書物を探していく。今のところすべてが空振りだ。もっともダーミッシュ伯爵家は王家の血筋は入っていない。龍から託宣が降りるはずもないので、何も見つからないのも当然のことだった。
(まあ、ハインリヒ様の泣きが入ったことだし)
リーゼロッテが伯爵家に戻ってから、ジークヴァルトがまったく使い物にならない。そう連絡を受けたカイは、リーゼロッテの様子を見に来がてら、ついでに護衛などもしているというわけだ。カイにしてみれば、息抜きにダーミッシュ領に物見遊山に来たようなものだった。
「あ、リーゼロッテ嬢、顔にまつ毛がついてるよ」
身を乗り出して手を伸ばすと、すかさずエマニュエルがリーゼロッテの顔をさらっていった。
「そういったことはわたしにお任せください」
その様子を、壁際にいるカークがおろおろした様子で見守っている。そのカークに向けて、カイはひらひらと手を振った。
「ジークヴァルト様はカークを通して視てるんだよね?」
「わかっていらっしゃるなら、あまりおふざけにならないほうがよろしいですわ。それに……」
エマニュエルが釘を刺すように言う。
「旦那様の守護者もこちらにいるそうなので」
「そんなものまで置いてったの? なんだよその規格外」
カイの言葉にリーゼロッテの視線が宙に向く。何も視えないが、そこにジークヴァルトの守護者がいるのだろう。
「ヴァルト様は過保護でいらっしゃいますから」
「はは、それで済ませちゃうんだ」
こんなにも鈍いリーゼロッテを攻略するには、もっとストレートにアプローチすべきだろう。なんてことはない。好きだ、ぶちゅ、で済む話だ。何ならぶちゅ、だけでも十分だ。
「ねえ、リーゼロッテ嬢、ジークヴァルト様に口づけられたことはある?」
「はへ?」
(まあ、ハインリヒ様の泣きが入ったことだし)
リーゼロッテが伯爵家に戻ってから、ジークヴァルトがまったく使い物にならない。そう連絡を受けたカイは、リーゼロッテの様子を見に来がてら、ついでに護衛などもしているというわけだ。カイにしてみれば、息抜きにダーミッシュ領に物見遊山に来たようなものだった。
「あ、リーゼロッテ嬢、顔にまつ毛がついてるよ」
身を乗り出して手を伸ばすと、すかさずエマニュエルがリーゼロッテの顔をさらっていった。
「そういったことはわたしにお任せください」
その様子を、壁際にいるカークがおろおろした様子で見守っている。そのカークに向けて、カイはひらひらと手を振った。
「ジークヴァルト様はカークを通して視てるんだよね?」
「わかっていらっしゃるなら、あまりおふざけにならないほうがよろしいですわ。それに……」
エマニュエルが釘を刺すように言う。
「旦那様の守護者もこちらにいるそうなので」
「そんなものまで置いてったの? なんだよその規格外」
カイの言葉にリーゼロッテの視線が宙に向く。何も視えないが、そこにジークヴァルトの守護者がいるのだろう。
「ヴァルト様は過保護でいらっしゃいますから」
「はは、それで済ませちゃうんだ」
こんなにも鈍いリーゼロッテを攻略するには、もっとストレートにアプローチすべきだろう。なんてことはない。好きだ、ぶちゅ、で済む話だ。何ならぶちゅ、だけでも十分だ。
「ねえ、リーゼロッテ嬢、ジークヴァルト様に口づけられたことはある?」
「はへ?」