寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「ごめんなさい、わたしっ」
飛び上がるように立ち上がって、少女はリーゼロッテから数歩距離を取った。その先にカークの姿を認めると、小さく悲鳴を上げて、今度はリーゼロッテにしがみついてきた。
「あなた、カークが視えるのね。大丈夫よ、カークは何も悪さはしないから」
「え……?」
安心させるように微笑んだ。少女はカークとリーゼロッテを交互に見た後に、サロンを駆け回る小鬼たちの動きを目で追った。
「ここにいる異形の者たちは、みな良い子ばかりよ」
「異形の者……?」
少女がもう一度サロンを見回すと、エマニュエルが警戒した様子で少女の手を引いた。
「あなたは誰? どうしてここにいるの?」
「あ……わたし学校の授業でここにきていて……」
「行儀見習いで来たのね。エマ様、大丈夫ですわ。学校からくる子たちは、みな身元がしっかりしていると聞いております」
リーゼロッテが少女の手を取り、ソファに座らせる。
「疲れたでしょう? 少しここで休んでいくといいわ。わたくしはリーゼロッテ。この家の娘よ。あなた、お名前はなんていうの?」
「わ、わたしはルチア……ルチア・ブルーメです」
「ブルーメ?」
どこかで聞いたことがある家名に、リーゼロッテは小首をかしげた。実父の生家が確かブルーメ子爵家だった。社交界に出るにあたって、最近はエマニュエルと共に、貴族に関することも学んでいる。
「あの、わたし、ブルーメ家の遠縁で……」
「まあ! では、あなたとわたしは遠い親戚かもしれないわ」
「えっ!?」
ルチアはそんな馬鹿なという顔をした。動揺からか、長い前髪の隙間からリーゼロッテの顔をじっと見つめてくる。
「ふふ、これも何かのご縁ね。よかったらこのお菓子も食べていって」
飛び上がるように立ち上がって、少女はリーゼロッテから数歩距離を取った。その先にカークの姿を認めると、小さく悲鳴を上げて、今度はリーゼロッテにしがみついてきた。
「あなた、カークが視えるのね。大丈夫よ、カークは何も悪さはしないから」
「え……?」
安心させるように微笑んだ。少女はカークとリーゼロッテを交互に見た後に、サロンを駆け回る小鬼たちの動きを目で追った。
「ここにいる異形の者たちは、みな良い子ばかりよ」
「異形の者……?」
少女がもう一度サロンを見回すと、エマニュエルが警戒した様子で少女の手を引いた。
「あなたは誰? どうしてここにいるの?」
「あ……わたし学校の授業でここにきていて……」
「行儀見習いで来たのね。エマ様、大丈夫ですわ。学校からくる子たちは、みな身元がしっかりしていると聞いております」
リーゼロッテが少女の手を取り、ソファに座らせる。
「疲れたでしょう? 少しここで休んでいくといいわ。わたくしはリーゼロッテ。この家の娘よ。あなた、お名前はなんていうの?」
「わ、わたしはルチア……ルチア・ブルーメです」
「ブルーメ?」
どこかで聞いたことがある家名に、リーゼロッテは小首をかしげた。実父の生家が確かブルーメ子爵家だった。社交界に出るにあたって、最近はエマニュエルと共に、貴族に関することも学んでいる。
「あの、わたし、ブルーメ家の遠縁で……」
「まあ! では、あなたとわたしは遠い親戚かもしれないわ」
「えっ!?」
ルチアはそんな馬鹿なという顔をした。動揺からか、長い前髪の隙間からリーゼロッテの顔をじっと見つめてくる。
「ふふ、これも何かのご縁ね。よかったらこのお菓子も食べていって」