寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「待つ時間が長いというのも、それほど悪いことではございませんわ。その分、わくわくした気持ちが続きますもの。それに、始まった時にもっときっとたのしいって思えるはずですわ」
「そんなものかしら」

 つまらなそうに唇を尖らせながらも、おとなしく菓子をつまみ始める。最近のツェツィーリアは、リーゼロッテの前ではとても素直だ。

「よかった、間に合ったみたいね」
「アデライーデお姉様!?」

 突然、ジークヴァルトとの間に、アデライーデが割り込んできた。ドレス姿の所を見ると、今日は騎士業は非番のようだ。
 ジークヴァルトを邪魔そうに押しやると、アデライーデは当たり前のようにリーゼロッテの横に陣取った。

「エマから聞いて、わたしもどうしても見たくなっちゃって。あら、これ美味しいわ」
 フルーツを口に放り込むと、アデライーデは同じものを手に取った。
「ほら、リーゼロッテも食べてみて」
 アデライーデにあーんと差し出されて、戸惑いつつもそれを口にした。

「美味しいですわ、お姉様」
「ずるいですわ、アデリーお姉様。わたくしも!」

 不満そうに言ったツェツィーリアが、違うフルーツをリーゼロッテの口元に近づけてくる。有無を言わさず奥へと押し込まれた。

「お、美味しいですわ、ツェツィーリア様」
「次はこれよ!」
「じゃあわたしはこっち」

 両脇から交互に差し出されて、訳も分からずリーゼロッテは懸命に咀嚼を繰り返した。

「もうお腹がいっぱいで……」
 胃の容積が限界を超えようとしたとき、ようやく観劇がスタートしたのであった。

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