寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「そうはおっしゃられましても、さすがのわたしでも、これはどうにもならなさそうですね」
そう言いながら、グロースクロイツはツェツィーリアをさっと抱き上げた。その視線が自分の背後を見据えているのを感じて、リーゼロッテは後ろを振り返った。
吹き飛ばされたはずの男が、虚ろな瞳に戻ってそこに立っていた。一歩、また一歩と、リーゼロッテへと近づいてくる。
「どうやら標的は、リーゼロッテ様、ただおひとりのようですね」
その言葉にツェツィーリアがはっとグロースクロイツの顔を見る。
「駄目よ。お姉様をひとり置いてはいけないわ」
「というわけで、お恨みになるなら、どうぞこのグロースクロイツだけになさってください。リーゼロッテ様には申し訳ないのですが、わたしは先代からツェツィーリア様をお守りするよう言いつかっておりますので」
リーゼロッテに向けて慇懃無礼に腰を折る。抗議するようにツェツィーリアは身をよじった。
しかし、グロースクロイツはツェツィーリアを抱えたまま、リーゼロッテに背を向け歩き出した。霧の中にリーゼロッテの姿が消える。消える間際、安心させるかのように、リーゼロッテはツェツィーリアに向けて微笑んだ。
「お姉様っ」
必死に手を伸ばすも、グロースクロイツはどんどん先を進んでいってしまう。その背をバシバシ叩くが、その歩調は緩まなかった。
ふっと重圧が掻き消え、いきなり視界が明るくなった。霧の中を抜けたのだ。そう思うと、緊張の糸がぷつりと切れてしまった。
「グロースクロイツ……お姉様に何かあったら、お前を絶対に許さない」
「なんと言われましょうとも、わたしが忠誠を誓うのは、ツェツィー様、あなただけなのですよ」
飄々と告げるグロースクロイツを、ツェツィーリアはぎっと睨みつけた。
「ツェツィー様……」
「ルカ?」
ふいに聞こえたルカの声に、ツェツィーリアは驚きで振り返った。その先に、悲しそうな顔をしたルカが佇んでいる。
そう言いながら、グロースクロイツはツェツィーリアをさっと抱き上げた。その視線が自分の背後を見据えているのを感じて、リーゼロッテは後ろを振り返った。
吹き飛ばされたはずの男が、虚ろな瞳に戻ってそこに立っていた。一歩、また一歩と、リーゼロッテへと近づいてくる。
「どうやら標的は、リーゼロッテ様、ただおひとりのようですね」
その言葉にツェツィーリアがはっとグロースクロイツの顔を見る。
「駄目よ。お姉様をひとり置いてはいけないわ」
「というわけで、お恨みになるなら、どうぞこのグロースクロイツだけになさってください。リーゼロッテ様には申し訳ないのですが、わたしは先代からツェツィーリア様をお守りするよう言いつかっておりますので」
リーゼロッテに向けて慇懃無礼に腰を折る。抗議するようにツェツィーリアは身をよじった。
しかし、グロースクロイツはツェツィーリアを抱えたまま、リーゼロッテに背を向け歩き出した。霧の中にリーゼロッテの姿が消える。消える間際、安心させるかのように、リーゼロッテはツェツィーリアに向けて微笑んだ。
「お姉様っ」
必死に手を伸ばすも、グロースクロイツはどんどん先を進んでいってしまう。その背をバシバシ叩くが、その歩調は緩まなかった。
ふっと重圧が掻き消え、いきなり視界が明るくなった。霧の中を抜けたのだ。そう思うと、緊張の糸がぷつりと切れてしまった。
「グロースクロイツ……お姉様に何かあったら、お前を絶対に許さない」
「なんと言われましょうとも、わたしが忠誠を誓うのは、ツェツィー様、あなただけなのですよ」
飄々と告げるグロースクロイツを、ツェツィーリアはぎっと睨みつけた。
「ツェツィー様……」
「ルカ?」
ふいに聞こえたルカの声に、ツェツィーリアは驚きで振り返った。その先に、悲しそうな顔をしたルカが佇んでいる。