寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
     ◇
「ちぃっ、フーゲンベルクの小娘め、いらぬ邪魔をしおって」

 忌々し気に舌打ちをすると、ミヒャエルは一転うすく(わら)った。

「まあ、いい。今回の目的は青き(たて)、貴様だけだ」

 前回は力を拡散させ過ぎた。だが、女神の力を最大限濃縮し、今まさにヤツを追い込んでいる。他の力ある者と分断できれば、なぶり殺しもたやすいことだ。龍の盾の命を皮切りに、(くれない)の女神に龍の血脈の魂を捧げ尽くそう。

「イジドーラ王妃――あと少し……あと少しで貴女はわたしのものだ」

 果てなく広がる妄執(もうしゅう)が、枯れることなくこの奥を刺す。のどをくつくつと震わせて、ミヒャエルは愉快そうにひとり嗤った。

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