寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
飛び込むように駆け込むと、その腕に抱き留められた。涙ながらに見上げると、そのままぎゅっと抱きしめられる。耳に胸の鼓動を聞いて、ジークヴァルトの無事に安堵する。確かめるようにリーゼロッテは、大きな背中に手をまわした。
ザンっと音がして、ジークヴァルトの腕に力が入った。呼吸が妨げられるほどにきつく抱きしめられて、リーゼロッテは背中のシャツを強く握った。
次の瞬間、ジークヴァルトが片膝をついた。その体を支えようとするも、リーゼロッテも一緒に床へと崩れ落ちていく。
ジークヴァルトの肩口に、短剣が突き刺さっている。銀色の刃がめり込むその下から、赤い液がみるみるうちに広がった。
受け入れられないその恐怖に、悲鳴すら出てこない。愕然と固まるリーゼロッテを庇いながら、ジークヴァルトは剣を突き立てた女に向かって渾身の力を放った。
女が倒れたことを確認すると、ジークヴァルトは自ら短剣を引き抜いた。途端に血が噴き出してくる。リーゼロッテの目の前で、赤い血はとめどなく流れ続けた。
「毒が塗ってあったようだ。少しくらい流れた方がいい」
短剣を投げ捨て、呻くようにジークヴァルトは小声で言った。
「ジーク……ヴァルトさま……」
「ああ……問題ない」
安心させるようにリーゼロッテの髪を力なく梳くと、ジークヴァルトは肩口の傷を押さえた。指の間から血が滴り落ちる。尋常ではないその量に、リーゼロッテは知らず首を小さく振った。
蒼白な顔でジークヴァルトは目を閉じた。どくどくと流れ出る血液に、意識が朦朧としている様子だった。
「ヴァルト様、ヴァルト様……」
泣きじゃくりながら、リーゼロッテは自身の手で傷口を塞いだ。生温かい血が、指の間を流れていく。
(どうして止まらないの……!)
ザンっと音がして、ジークヴァルトの腕に力が入った。呼吸が妨げられるほどにきつく抱きしめられて、リーゼロッテは背中のシャツを強く握った。
次の瞬間、ジークヴァルトが片膝をついた。その体を支えようとするも、リーゼロッテも一緒に床へと崩れ落ちていく。
ジークヴァルトの肩口に、短剣が突き刺さっている。銀色の刃がめり込むその下から、赤い液がみるみるうちに広がった。
受け入れられないその恐怖に、悲鳴すら出てこない。愕然と固まるリーゼロッテを庇いながら、ジークヴァルトは剣を突き立てた女に向かって渾身の力を放った。
女が倒れたことを確認すると、ジークヴァルトは自ら短剣を引き抜いた。途端に血が噴き出してくる。リーゼロッテの目の前で、赤い血はとめどなく流れ続けた。
「毒が塗ってあったようだ。少しくらい流れた方がいい」
短剣を投げ捨て、呻くようにジークヴァルトは小声で言った。
「ジーク……ヴァルトさま……」
「ああ……問題ない」
安心させるようにリーゼロッテの髪を力なく梳くと、ジークヴァルトは肩口の傷を押さえた。指の間から血が滴り落ちる。尋常ではないその量に、リーゼロッテは知らず首を小さく振った。
蒼白な顔でジークヴァルトは目を閉じた。どくどくと流れ出る血液に、意識が朦朧としている様子だった。
「ヴァルト様、ヴァルト様……」
泣きじゃくりながら、リーゼロッテは自身の手で傷口を塞いだ。生温かい血が、指の間を流れていく。
(どうして止まらないの……!)