寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「わたくしったら、気遣いが足りませんでしたわね。でも大丈夫ですわ。このわたくしにお任せくださいませ」
そう言って、リーゼロッテはいきなり布団の中に潜り込んだ。もぞもぞしながら、ジークヴァルトの足元へと下がっていく。リーゼロッテの山が移動するのを見やって、ジークヴァルトはただ身を強張らせた。
驚きと期待が高まる中、リーゼロッテは布団のいちばん下の端から、その顔をひょっこりとのぞかせた。乱れた髪もそのままに、瞳を輝かせ、手にしたものを得意げにジークヴァルトに掲げて見せる。
「やっぱり! 湯たんぽがこんなに冷えてしまって。ヴァルト様、お冷たかったのでしょう? そんなことに気が回らずに、本当に申し訳ございません。今すぐ湯を入れて持ってきますわ!」
寝台から出て床に降り立つと、リーゼロッテは湯たんぽをかかえて寝室を出て行こうとした。
「いや、そんなことをお前がすることは……」
「いいえ、わたくしだって湯くらい沸かせますわ。お任せくださいませ!」
意気揚々と去っていく背を見送り、ジークヴァルトは静かに息を吐いた。危ないところだった。無意識に任せてあのまま暴走していたら、今頃は彼女を泣かせていたかもしれない。
拒絶するような泣き顔はもう二度と見たくない。ジークヴァルトはもう一度、ひとり息を長く吐いた。
しばらくすると湯たんぽを手にしたロミルダに連れられて、リーゼロッテが戻ってきた。先ほどと打って変わって、やけにしょんぼりとした顔をしている。
「ジークヴァルト様……申し訳ございません。わたくしろくに湯たんぽも用意できなくて……」
「湯を扱うのは危のうございますからね。そういったことはわたしどもにお任せください」
その言葉に、リーゼロッテはさらにしょぼんとなった。
「リーゼロッテ様のそのお気持ちだけで、十分でございます。そうですよね、旦那様?」
ロミルダの問いかけに、ジークヴァルトは黙ったまますいとその顔をそらした。
そう言って、リーゼロッテはいきなり布団の中に潜り込んだ。もぞもぞしながら、ジークヴァルトの足元へと下がっていく。リーゼロッテの山が移動するのを見やって、ジークヴァルトはただ身を強張らせた。
驚きと期待が高まる中、リーゼロッテは布団のいちばん下の端から、その顔をひょっこりとのぞかせた。乱れた髪もそのままに、瞳を輝かせ、手にしたものを得意げにジークヴァルトに掲げて見せる。
「やっぱり! 湯たんぽがこんなに冷えてしまって。ヴァルト様、お冷たかったのでしょう? そんなことに気が回らずに、本当に申し訳ございません。今すぐ湯を入れて持ってきますわ!」
寝台から出て床に降り立つと、リーゼロッテは湯たんぽをかかえて寝室を出て行こうとした。
「いや、そんなことをお前がすることは……」
「いいえ、わたくしだって湯くらい沸かせますわ。お任せくださいませ!」
意気揚々と去っていく背を見送り、ジークヴァルトは静かに息を吐いた。危ないところだった。無意識に任せてあのまま暴走していたら、今頃は彼女を泣かせていたかもしれない。
拒絶するような泣き顔はもう二度と見たくない。ジークヴァルトはもう一度、ひとり息を長く吐いた。
しばらくすると湯たんぽを手にしたロミルダに連れられて、リーゼロッテが戻ってきた。先ほどと打って変わって、やけにしょんぼりとした顔をしている。
「ジークヴァルト様……申し訳ございません。わたくしろくに湯たんぽも用意できなくて……」
「湯を扱うのは危のうございますからね。そういったことはわたしどもにお任せください」
その言葉に、リーゼロッテはさらにしょぼんとなった。
「リーゼロッテ様のそのお気持ちだけで、十分でございます。そうですよね、旦那様?」
ロミルダの問いかけに、ジークヴァルトは黙ったまますいとその顔をそらした。