寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
◇
ロミルダに出迎えられて、リーゼロッテがジークヴァルトの部屋に入ってくる。扉からすぐのところにある居間で、マテアスは紅茶を準備して待っていた。
「主は間もなく参ります。もうしばらくおかけになってお待ちいただけますか?」
頷いたリーゼロッテがソファに座ると、すぐさま香しい紅茶を目の前にサーブする。
「本日は苺のタルトをご用意させていただきました」
「まあ!」
差し出されたタルトに目を輝かせると、リーゼロッテは壁をちらりと見上げ、居心地悪そうに視線をそらした。
「どうかなさいましたか?」
「なんだかあの絵が気になってしまって……」
リーゼロッテが座る真正面の壁には、彼女の幼い頃の肖像画が飾られている。光り輝くような笑顔を向け、目の前に立つと、自分が微笑みかけられているような、そんな気分にさせられる絵だ。
「あちらは旦那様が五歳の時に頂いたものです。リーゼロッテ様の元へも、旦那様の肖像画が贈られたと思いますが」
「え、ええ、そうね。わたくしのところにもジークヴァルト様の肖像画があるわ」
「もちろんリーゼロッテ様も、お部屋に飾られているのでしょう?」
そうあって然るべきと言う態度でマテアスが問うと、リーゼロッテは慌てたように首を振った。
「あの絵はジークヴァルト様から頂いた品を置く部屋に飾ってあるわ」
「そうでございましたか。次に伯爵家に行かれた際には、ぜひともお部屋に飾っていただきたく存じます」
「そうね、少し考えておくわ」
歯切れ悪く答えたリーゼロッテは、絵の下に置かれた棚に目を向けた。
「あそこに飾ってある物は?」
「あちらの物は、今までリーゼロッテ様が贈ってくださった品々でございます」
「どうりで見覚えのある物が置いてあると思ったわ……」
驚き顔のリーゼロッテが、伺うようにマテアスの顔を見上げてくる。
ロミルダに出迎えられて、リーゼロッテがジークヴァルトの部屋に入ってくる。扉からすぐのところにある居間で、マテアスは紅茶を準備して待っていた。
「主は間もなく参ります。もうしばらくおかけになってお待ちいただけますか?」
頷いたリーゼロッテがソファに座ると、すぐさま香しい紅茶を目の前にサーブする。
「本日は苺のタルトをご用意させていただきました」
「まあ!」
差し出されたタルトに目を輝かせると、リーゼロッテは壁をちらりと見上げ、居心地悪そうに視線をそらした。
「どうかなさいましたか?」
「なんだかあの絵が気になってしまって……」
リーゼロッテが座る真正面の壁には、彼女の幼い頃の肖像画が飾られている。光り輝くような笑顔を向け、目の前に立つと、自分が微笑みかけられているような、そんな気分にさせられる絵だ。
「あちらは旦那様が五歳の時に頂いたものです。リーゼロッテ様の元へも、旦那様の肖像画が贈られたと思いますが」
「え、ええ、そうね。わたくしのところにもジークヴァルト様の肖像画があるわ」
「もちろんリーゼロッテ様も、お部屋に飾られているのでしょう?」
そうあって然るべきと言う態度でマテアスが問うと、リーゼロッテは慌てたように首を振った。
「あの絵はジークヴァルト様から頂いた品を置く部屋に飾ってあるわ」
「そうでございましたか。次に伯爵家に行かれた際には、ぜひともお部屋に飾っていただきたく存じます」
「そうね、少し考えておくわ」
歯切れ悪く答えたリーゼロッテは、絵の下に置かれた棚に目を向けた。
「あそこに飾ってある物は?」
「あちらの物は、今までリーゼロッテ様が贈ってくださった品々でございます」
「どうりで見覚えのある物が置いてあると思ったわ……」
驚き顔のリーゼロッテが、伺うようにマテアスの顔を見上げてくる。