寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「あとで手に取って見ても大丈夫かしら?」
「旦那様はわたしどもには一切触らせようとなさいませんが、リーゼロッテ様でしたら問題ないかと思います。ああ、ですが持ち出したり破損したりはなさらないでくださいね。リーゼロッテ様に頂いた品々を、主はそれはそれは大事にしておりますから」
準備は万端に整った。マテアスはにっこりと笑顔をつくり、首をかしげているリーゼロッテに向けて、丁寧な動作で腰を折る。
「では、わたしはこれで。どうぞごゆっくりなさってください」
そう言って、マテアスは部屋から出ていった。その際、扉の前で控えていたロミルダの腕を引っ張って、一緒に廊下へと連れだしていく。
「邪魔はしないでいただけますか?」
「だけど、旦那様のお部屋でふたりきりにするなんて……」
ロミルダは心配そうに部屋の扉を見やった。ジークヴァルトの自室なら、リーゼロッテに何をどうしようと、異形の邪魔は入らない。
「それが目的なんですから、無粋なことは言わないでください。ようやくいい雰囲気になってきた今を逃す手はありません。このまま旦那様に頑張っていただかなくては」
「変に手を出して、またリーゼロッテ様に嫌われたら、今度こそ取り返しがつかなくなるんじゃないかしら」
「いえ、最近の旦那様とリーゼロッテ様はとてもいい感じです。行くなら今しかありません」
不安げに言うロミルダに、マテアスは自信満々の様子で答えた。
「でも、ダーミッシュ伯爵と誓約を交わしているんでしょう? それにいくら婚約関係にあるとはいえ、婚姻前にそういったことをするのは外聞も悪いんじゃ……」
「あなたがそれを言いますか?」
「旦那様はわたしどもには一切触らせようとなさいませんが、リーゼロッテ様でしたら問題ないかと思います。ああ、ですが持ち出したり破損したりはなさらないでくださいね。リーゼロッテ様に頂いた品々を、主はそれはそれは大事にしておりますから」
準備は万端に整った。マテアスはにっこりと笑顔をつくり、首をかしげているリーゼロッテに向けて、丁寧な動作で腰を折る。
「では、わたしはこれで。どうぞごゆっくりなさってください」
そう言って、マテアスは部屋から出ていった。その際、扉の前で控えていたロミルダの腕を引っ張って、一緒に廊下へと連れだしていく。
「邪魔はしないでいただけますか?」
「だけど、旦那様のお部屋でふたりきりにするなんて……」
ロミルダは心配そうに部屋の扉を見やった。ジークヴァルトの自室なら、リーゼロッテに何をどうしようと、異形の邪魔は入らない。
「それが目的なんですから、無粋なことは言わないでください。ようやくいい雰囲気になってきた今を逃す手はありません。このまま旦那様に頑張っていただかなくては」
「変に手を出して、またリーゼロッテ様に嫌われたら、今度こそ取り返しがつかなくなるんじゃないかしら」
「いえ、最近の旦那様とリーゼロッテ様はとてもいい感じです。行くなら今しかありません」
不安げに言うロミルダに、マテアスは自信満々の様子で答えた。
「でも、ダーミッシュ伯爵と誓約を交わしているんでしょう? それにいくら婚約関係にあるとはいえ、婚姻前にそういったことをするのは外聞も悪いんじゃ……」
「あなたがそれを言いますか?」