寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「よぉし、じゃあこうしよう。ジークヴァルト、お前はやらなきゃいけないことをとりあえず頑張れ。そうしたら乗馬の時間を作るようエッカルトに頼んでやるぞぉ」
「やらなきゃいけないこと?」
「ああ、領地の勉強や剣術なんかだ。お前はオレの後を継いで公爵領主となる。そのための勉強だ。まぁ言っても領地経営なんかは、オレもエッカルトに任せきりだけどな」

 はっはっは、と得意げに笑うと、ジークフリートはマテアスの頭にポンと手を置いた。

「お前もマテアスに任せとけばいい」
「マテアスに?」
「ああ、とりあえずマテアスの言うこと聞いとけばお前の代も安泰だ。アーベントロート家は優秀なんだぞ。な? マテアス?」
「は、はい、旦那様! 精一杯務めさせていただきます!」

 頭をぐりぐりとなでられながらマテアスは慌てて頷いた。

「それに、そのうちヴァルトも力の制御を身につけないとだなぁ」
「ちからのせいぎょ?」
「異形を(はら)えるようになれば、もっと自由に部屋から出られるようになる。馬にだって乗りたい放題だ。フーゲンベルク領主が、馬に乗れないんじゃあ示しがつかないからなぁ。そこのところもよろしく頼んだぞ、マテアス」
「はい! 旦那様」

 その間もジークヴァルトは黒影号とずっと見つめ合っていた。


< 288 / 403 >

この作品をシェア

pagetop