寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「悲しみに暮れる女性には、甘いものがいちばんだということは実証済みです。この方法で泣き止まなかった女性はおりません」
ぽかんとなったあと、エラは涙が残る顔のまま、仕方なさそうに笑顔になった。
「随分とプレイボーイな発言ですね」
「それはどうでしょう? 試してみたのは母ロミルダと、エマニュエル様、アデライーデ様、それにツェツィーリア様ですから」
「それにわたしが加わったのですね?」
「正に。この理論が間違いないことが再び立証されました」
大仰に頷いたマテアスに、エラはふっと自然に笑った。
「ありがとう、マテアス」
「いえ、もう少し早く行くべきだったと後悔しております」
迎えに来るはずのエラが現れないとリーゼロッテに懇願されて、マテアスはエラを探し回っていた。胸騒ぎを覚えたマテアスは、人気のない区画でエーミールと一緒にいる姿を見つけたとき、一瞬その間に入るのを躊躇した。
「わたしリーゼロッテ様を迎えに行かないと……!」
はっとして立ち上がろうとしたエラの手を取って、マテアスはその場に押しとどめた。
「リーゼロッテ様はわたしが部屋へとお連れしました。今はルチア様とともにベッティさんがついていてくれています」
「そう……ですか」
力が抜けたように、エラは再びソファへと沈み込んだ。
「エラ様……余計な事かもしれませんが、エラ様はエーミール様のことを憎からず思っていらっしゃるのでしょう? エーミール様も同じ思いのご様子です。その手を取っても何も問題はないのではありませんか?」
「……わたしなど、エーミール様に相応しくはありません。グレーデン家がそれを許すとも思えません」
ぎゅっと唇を噛みしめる。そんなエラにマテアスは苦笑いを向けた。
ぽかんとなったあと、エラは涙が残る顔のまま、仕方なさそうに笑顔になった。
「随分とプレイボーイな発言ですね」
「それはどうでしょう? 試してみたのは母ロミルダと、エマニュエル様、アデライーデ様、それにツェツィーリア様ですから」
「それにわたしが加わったのですね?」
「正に。この理論が間違いないことが再び立証されました」
大仰に頷いたマテアスに、エラはふっと自然に笑った。
「ありがとう、マテアス」
「いえ、もう少し早く行くべきだったと後悔しております」
迎えに来るはずのエラが現れないとリーゼロッテに懇願されて、マテアスはエラを探し回っていた。胸騒ぎを覚えたマテアスは、人気のない区画でエーミールと一緒にいる姿を見つけたとき、一瞬その間に入るのを躊躇した。
「わたしリーゼロッテ様を迎えに行かないと……!」
はっとして立ち上がろうとしたエラの手を取って、マテアスはその場に押しとどめた。
「リーゼロッテ様はわたしが部屋へとお連れしました。今はルチア様とともにベッティさんがついていてくれています」
「そう……ですか」
力が抜けたように、エラは再びソファへと沈み込んだ。
「エラ様……余計な事かもしれませんが、エラ様はエーミール様のことを憎からず思っていらっしゃるのでしょう? エーミール様も同じ思いのご様子です。その手を取っても何も問題はないのではありませんか?」
「……わたしなど、エーミール様に相応しくはありません。グレーデン家がそれを許すとも思えません」
ぎゅっと唇を噛みしめる。そんなエラにマテアスは苦笑いを向けた。