寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「先日の夜会では娘が失礼を働いたそうで……いや、目を離した隙とはいえ公爵には大変申し訳なく……」
「いい。気にしてない」
イザベラには目もくれず、ジークヴァルトはそっけなく言った。
「さあ、イザベラ、お前もきちんと謝罪をしなさい」
「……フーゲンベルク公爵様、先日は失礼な物言いをしてたいへん申し訳ございませんでした」
若干不満そうにしながらも素直に礼を取ったイザベラに向けて、ジークヴァルトは「ああ」とだけ返した。
「それで公爵、ここからは政務の話となるのですが……」
こむずかしい話が始まりそうな予感に、リーゼロッテは心を無にした。こういったときは横で黙って付き合うしかない。ジークヴァルトがそばを離れるのを嫌がるので、退屈で仕方ない時間もただ笑みを作って耐えるしかなかった。
「ねえ、お父様。わたくし、あちらでリーゼロッテ様とおしゃべりしてまいりますわ」
「え? あの、わたくし……」
いきなりイザベラに手を取られる。仲の良い友人にするように腕を絡め、休憩用のソファへと引っ張っていかれた。ジークヴァルトはすぐそこに立っているし、ジークハルトもリーゼロッテの近くであぐらをかいて浮いていた。難しい表情になりつつも、ジークヴァルトはそのままブラル伯爵と会話を続けている。
(この距離なら目が行き届くし、万が一誰かにダンスを申し込まれても、ジークヴァルト様が助けてくれるわね)
そう思ってイザベラの横のソファへと腰かけた。
「あなたは? お酒でも飲む?」
「いえ、わたくしは家に禁止されていて……」
「そう、わたくしもよ。酔って何かあったら危険だからって、お父様に止められているの」
「まあ、そうですの」
なんとなくほほ笑みあい、ふたりで果実水に口をつける。歩き回っていたせいで、座れたことにほっとしている自分がいた。
「ほんと、殿方同士の話ってつまらないわ。お父様はお話も長いから、わたくしいつも退屈してしまって」
「ブラル伯爵様は宰相でいらっしゃいますから」
「そうね。それも当然よね。ねえ、これ美味しそうよ。リーゼロッテ様もいかが?」
「いい。気にしてない」
イザベラには目もくれず、ジークヴァルトはそっけなく言った。
「さあ、イザベラ、お前もきちんと謝罪をしなさい」
「……フーゲンベルク公爵様、先日は失礼な物言いをしてたいへん申し訳ございませんでした」
若干不満そうにしながらも素直に礼を取ったイザベラに向けて、ジークヴァルトは「ああ」とだけ返した。
「それで公爵、ここからは政務の話となるのですが……」
こむずかしい話が始まりそうな予感に、リーゼロッテは心を無にした。こういったときは横で黙って付き合うしかない。ジークヴァルトがそばを離れるのを嫌がるので、退屈で仕方ない時間もただ笑みを作って耐えるしかなかった。
「ねえ、お父様。わたくし、あちらでリーゼロッテ様とおしゃべりしてまいりますわ」
「え? あの、わたくし……」
いきなりイザベラに手を取られる。仲の良い友人にするように腕を絡め、休憩用のソファへと引っ張っていかれた。ジークヴァルトはすぐそこに立っているし、ジークハルトもリーゼロッテの近くであぐらをかいて浮いていた。難しい表情になりつつも、ジークヴァルトはそのままブラル伯爵と会話を続けている。
(この距離なら目が行き届くし、万が一誰かにダンスを申し込まれても、ジークヴァルト様が助けてくれるわね)
そう思ってイザベラの横のソファへと腰かけた。
「あなたは? お酒でも飲む?」
「いえ、わたくしは家に禁止されていて……」
「そう、わたくしもよ。酔って何かあったら危険だからって、お父様に止められているの」
「まあ、そうですの」
なんとなくほほ笑みあい、ふたりで果実水に口をつける。歩き回っていたせいで、座れたことにほっとしている自分がいた。
「ほんと、殿方同士の話ってつまらないわ。お父様はお話も長いから、わたくしいつも退屈してしまって」
「ブラル伯爵様は宰相でいらっしゃいますから」
「そうね。それも当然よね。ねえ、これ美味しそうよ。リーゼロッテ様もいかが?」