寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
     ◇
「それでは、リーゼロッテ様と思いが通じたのですね?」

 前のめりにマテアスに問われ、ジークヴァルトはぎゅっと眉根を寄せた。

「……触れても、嫌がられなくはなった」
「は……?」

 その曖昧(あいまい)な返答に、今度はマテアスの眉根が寄せられる。だがすぐに気を取り直したように咳払いをした。

「では順を追ってお伺いいたしましょうか? まずは異形が再びリーゼロッテ様を襲ったと」
「ああ」
「そこに旦那様が助けに入った」
「そうだ」
「で、その次に旦那様はどうされたのですか?」
「無理やり口づけた」
「そうですか。リーゼロッテ様に無理やり口づけを……って、あなた何やらかしちゃってるんですかっ!?」

 納得しかけたマテアスが、驚愕した顔になって声を荒げた。あれほど今はしつこくするなと口を酸っぱくして言ったのに、一体何を考えているのだ。ジークヴァルトは無言でついと顔を逸らした。

「はぁ、まったく、うまくいったからよかったものの……」

 あれほど()きつけても決して手を出そうとしなかったクセに、相変わらず自分の予想を軽々と超えてくる(あるじ)だ。

「それでリーゼロッテ様には、ちゃんと愛しているとお伝えになったのですね?」
「いや……」
「では好きだとお伝えに?」
「いや、言ってない」

 ぴきっと青筋を立てつつも、マテアスは努めて冷静に問うた。

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