寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
     ◇
「義姉上!」
「ルカ! お義父様も、会えてうれしいですわ」

 久しぶりに会うルカとフーゴを、リーゼロッテは満面の笑みで迎えた。

「昨日、正式にレルナー家と婚約の手続きをしてきてね。せっかく王都に来たのだから、リーゼロッテの顔を見たくなってお邪魔させていただいたよ」
「ルカ、ツェツィーリア様との婚約おめでとう。本当によかったわね」
「はい! レルナー公爵様に認めていただけて、わたしも感激しています」

 天使の顔をきりりとさせて、ルカは誇らしげに頷いた。

「それにしてもよくお義父様を説得できたわね」
「はい、わたしも頑張りました!」
「さすがのわたしもルカの熱意に根負けしてね。レルナー家に申し出て、断られたらきっぱり諦めるように言ったんだ。だが、やるからには全力でレルナー公爵と交渉したよ。ルカもいい勉強になっただろう?」
「わたしなどまだまだ未熟だと思い知らされました。父上には感謝しかありません。これからもツェツィー様の隣に立つにふさわしい男になるべく、努力を続けていきます!」

 その一環だとして、ルカはエッカルトを探しに行ってしまった。いろいろと聞きたいことができたらしい。

「ルカって本当に努力家ね……」

 その背を見送りながら感心したようにつぶやくと、フーゴは苦い笑みを漏らした。

「そう育ててきたというのはあるんだけれどね……。ルカはもう少し我慢というものを覚える必要があると思ったよ」
「ふふ、ルカは欲しいものは何としても手に入れる子ですものね」
「本当のことを言うと、この婚約にわたしはずっと反対だったんだ。ツェツィーリア様のお噂を聞くと、どうしてもね」
「お義父様……」
「でもね、リーゼロッテの言葉を聞いて、わたしはそれを信じようと思ったんだ。お前が見込んだ方なら、大丈夫だろうってね」

 リーゼロッテは目を見開いた。自分はフーゴに何を言っただろうか。

「ツェツィーリア様にお会いして、わたしも納得したよ。可愛い娘がもうひとり増えるのかと思うと、今から楽しみで仕方がないよ」

 目を細めて言うフーゴに、リーゼロッテは涙目になった。

「フーゴお義父様……本当に、ありがとうございます」
「おや? なんでお前が礼を言うんだい?」
「だって、わたくしにも可愛い義妹ができますもの」

 ツェツィーリアにも新しい家族ができる。そのひとりに自分もなれるのだ。そう思うと胸が熱くなった。

< 368 / 403 >

この作品をシェア

pagetop