寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
◇
午後の大きな商談を終えて、フーゴは一息ついた。今回はルカも同席させた。黙って見ているように言って横に座らせていただけだが、そのルカは何やら思案顔をしている。
「……父上、先ほどの商談の件ですが、ひとついいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ」
平然として答えたが、フーゴはルカのこの言葉を待っていた。このまま何も気がつかなければ、ツェツィーリアとの婚約は絶対に許可しないと心に決めて。
「調べたところ、レルナー領では良質の鉄鉱石が採れるとありました。ですがそれを大きな特産とはできていない様子です」
「ああ、そのようだ」
「先ほどの商談は、安価に作れる庶民向けの商品の話でした。ですがあれを良質な素材で作れたら、貴族向けのハイブランドの物が展開できるとは思いませんか?」
フーゴは顔が緩むのを必死に隠して、もっともだと言うように頷いた。先ほどの商談はコストを抑えめにした、平民向けの髭剃りの材料の仕入れに関するものだった。
ダーミッシュ家は特産物のひとつとして、剃刀をいくつか商品化している。もとはリーゼロッテの発案で開発したものだが、切れ味が良く長持ちすると他領でも評判の品だ。ダーミッシュ家が材料と技術を提供し、エデラー男爵家がエデラー商会のブランド品として売りに出していた。
貴族社会でいいように利用されそうになっていたエデラー家を助けて以来、ダーミッシュ家はその後ろ盾を続けている。今では益を生み出すビジネスパートナーの関係だ。
いわゆる適材適所というやつで、貴族に大きな伝手のあるダーミッシュ伯爵家と、庶民にネットワークを持つエデラー男爵家が、タッグを組んでうまいことやっているという図式だった。
午後の大きな商談を終えて、フーゴは一息ついた。今回はルカも同席させた。黙って見ているように言って横に座らせていただけだが、そのルカは何やら思案顔をしている。
「……父上、先ほどの商談の件ですが、ひとついいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ」
平然として答えたが、フーゴはルカのこの言葉を待っていた。このまま何も気がつかなければ、ツェツィーリアとの婚約は絶対に許可しないと心に決めて。
「調べたところ、レルナー領では良質の鉄鉱石が採れるとありました。ですがそれを大きな特産とはできていない様子です」
「ああ、そのようだ」
「先ほどの商談は、安価に作れる庶民向けの商品の話でした。ですがあれを良質な素材で作れたら、貴族向けのハイブランドの物が展開できるとは思いませんか?」
フーゴは顔が緩むのを必死に隠して、もっともだと言うように頷いた。先ほどの商談はコストを抑えめにした、平民向けの髭剃りの材料の仕入れに関するものだった。
ダーミッシュ家は特産物のひとつとして、剃刀をいくつか商品化している。もとはリーゼロッテの発案で開発したものだが、切れ味が良く長持ちすると他領でも評判の品だ。ダーミッシュ家が材料と技術を提供し、エデラー男爵家がエデラー商会のブランド品として売りに出していた。
貴族社会でいいように利用されそうになっていたエデラー家を助けて以来、ダーミッシュ家はその後ろ盾を続けている。今では益を生み出すビジネスパートナーの関係だ。
いわゆる適材適所というやつで、貴族に大きな伝手のあるダーミッシュ伯爵家と、庶民にネットワークを持つエデラー男爵家が、タッグを組んでうまいことやっているという図式だった。