野いちご源氏物語 三九 御法(みのり)
三月のことだったから、(はな)(ざか)りで空もうららか。
二条(にじょう)(いん)自体がまるで極楽(ごくらく)浄土(じょうど)のようよ。
おごそかな僧侶(そうりょ)たちの声がやんで会場が静かになったとき、(むらさき)(うえ)はいつも以上に心細くなってしまわれた。
会場には明石(あかし)(きみ)花散里(はなちるさと)の君も来ていらっしゃる。
明石の君にお手紙をお書きになって、中宮(ちゅうぐう)様がお生みになった(さん)(みや)様をお使者(ししゃ)にしてお届けなさった。
「いつ死んでも()しくはない身ですが、これを最後の法要(ほうよう)にして死んでいくのだと思うと悲しいのです」

同じように心細い内容のお返事では、盛大なご法要にふさわしくないような気がして、明石の君は無難(ぶなん)なお返事をした。
「このご法要が始まりでございます。ここから長い修行(しゅぎょう)人生に入っていかれるのですから」
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