野いちご源氏物語 三九 御法(みのり)
一晩中お(きょう)と音楽と(まい)でにぎやかだった。
ほのぼのと夜が明けていくころ、(かすみ)の間から咲きほこる花が見える。
<やはり春が一番よい>
(むらさき)(うえ)が耳を()まされると、さまざまな鳥が美しい声で鳴く。
ご法要には親王(しんのう)様や上級貴族たちも参列なさっている。
楽器が得意な方たちは張り切って演奏なさった。
身分の上下にかかわらず、誰もかれも心地よさそうに(ほが)らかにしていらっしゃる。
残された命がわずかだと(さと)っておられる紫の上には、ひとひとつがお胸にしみる。
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