貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜
目眩く夜が始まった。
素肌を晒し合い、からだを重ね合って、幸福と高揚が全身の隅々を駆け巡る。
熱い手のひらが、詩乃の肌を隅々まで愛撫した。
「あ……っ!」
殊更に柔い、敏感な、桃色に染まった詩乃の肢体を味わうように撫でられると、勝手に声が出てしまう。
明人の唇が、手のひらが、全身をくまなく愛で続けた。
「可愛らしい……詩乃さん、可愛い」
「んん……っ」
はしたなく身を委ねて、与えられる愛撫にただ本能的な反応を返すことしか出来ない。
「ひ、あぁっ……!」
胸の膨らみを、甘く啄まれる。
明人の唇を、吐息を、汗ばんできた体温を、快楽として感じずにはいられない。
「可愛らしい声で鳴いて……そんなに感じるんですか?」
意地悪い声が耳を打つと、引き攣らんばかりの興奮がぞくぞくっと込み上げてくる。
「あぁ……分かりました、感じてしまうんですね」
明人が無情にも、詩乃の表情をじっと見詰めながら低く囁いた。
顔を必死に隠そうと掲げた腕を、あっさりと解いて掴んでしまう。
「い……いじわる、すぎ……っ」
もう、これ以上は赤くなれないくらい、顔が真っ赤になっているのが分かる。
涙すら浮かべて、許しを乞うように明人の顔をちらりと見上げた。